今年度では、米国において、投資取引領域だけではなく、消費者取引の領域での適合性原則の適用の有無について資料収集を行い、関連文献を調べた結果、消費者取引一般について適合性原則が適用されていないが、抵当貸付に関しては適合性原則の下位規則である「顧客の支払能力に関する判断義務」が制定法によって定められていることと、21歳以下の若者にクレジットカードの発行を禁止することが規定されていることが判明し、これらのことについて精査・分析し、「米国における適合性原則の現状―適合性原則の内容の深化についてー」という論文を仕上げて、公刊され、日本消費者法学会第8回大会において、同一テーマの報告をも行った。 また、高齢者の投資取引において、適合性原則がどのように適用されているかについて、近時の裁判例を中心に整理・分析を行い、「高齢者の投資取引における適合性原則の意義と役割―最高裁平成17年7月14日判決以降の下級審裁判例の分析を中心にー」という論文を書き上げて、公刊された。 さらに、第14回中日民商法学会において、「日本における適合性原則とその運用状況」について報告を行い、報告原稿も公刊された。
|