本研究は、2008年に韓国の民法で戸主制が廃止されたことに着目し、韓国の儒教的な家族制度がどのように変容しているのかを分析することにより、韓国社会の男女の「性差」に関する法的構造を実証的に解明するところにその目的がある。2005年に韓国の国会で戸主制の廃止が決定された。注目すべきは、家族制度において戸主制と一体関係にあった「戸籍制度」も撤廃されたことである。これに代わって、「家」単位ではなく、個人単位で登録する「家族関係登録制」が導入された。この研究は、旧制度を廃しつつ、新しい家族制度へと改革されていく韓国の法制だけでなく、社会的な要因にも分け入って法的解明を試みている点にその特徴がある。
|