司法制度改革に基づく法曹人口の急激な増加がもたらす法曹(弁護士を中心とする)の領域における競争原理の導入による法曹システムの市場化は、法科大学院制度発足が10年以上経過した現在、当初予定していた規模の増大に歯止めがかかったものの、活動領域の拡大、報酬の透明化など一定程度実現している。 しかし、比較法的な視点からは、日本における法曹の地位の専門性、公共的役割への期待は相対的に大きく、公共性と両立する形で市場化を進めるには、継続教育を含めた法曹養成制度による理論と実践との統合、地域の実情をふまえた弁護士会の組織の自治が認められるべき領域と限界の認識が必要であることが明らかになったと考えられる。
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