• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実施状況報告書

環境リスク規制に関する包括的研究―統一的視座の確立と環境損害賠償制度構築に向けて

研究課題

研究課題/領域番号 25380141
研究種目

基盤研究(C)

研究機関早稲田大学

研究代表者

大塚 直  早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90143346)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード予防原則 / 環境リスク / 原子力規制
研究概要

本研究は、環境リスクを意識した環境法制度を構築することを目的とし、環境リスク規制に係る統一的視座を確立すること、及び環境損害賠償制度の構築を試みること、を2本柱としている。
本年度は、特に環境リスク規制に焦点を当てた。リスク規制のためには、環境法の基本原則である予防原則について検討が必要となる。そこで、6月には、国際シンポジウム「EU,イギリス及び日本における予防原則」を開催した。研究代表者による報告「わが国における予防原則について」のほか、イギリスから招聘した法学研究者から「Precautionary Principle in the EU and the UK including the relation between Precautionary Principle and Proportionality Principle」について、国内から招聘した法学研究者から「予防原則と化学物質規制」についてもご報告をいただいた。その後のパネルディスカッションでは、参加者からの質問も交えて、活発な議論を行うことができた。
また、リスク規制については、各々の分野の環境問題について論点を煮詰め、各分野の結論を打ち出すためにも、その中の一つとして昨今問題となっている原子力に焦点を当てた。3月には、シンポジウム「リスク論と原子力規制」を開催し、国内から2名の法学研究者を招聘し、「原発の安全規制とリスク論」と「基本権保護義務・予防原則・原子力の安全確保」について報告をいただき、その後、参加者も交えたパネルディスカッションを行った。このご報告及びその後の議論は、本研究において環境リスクを検討する上で非常に意義があるものであったと考えられる。
両者のシンポジウム及びその後の研究を通じて、本年度は、環境リスクを予防するための総合的な法システムのあり方について検討を深められたと考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の第一の柱である「環境リスク規制に係る統一的視座の確立」については、リスク規制全般と原子力の分野でのリスク規制の検討を行うこともできたので、来年度の研究の基盤を創るだけでなく、来年度の研究計画であった一部(原子力規制)にも早くに取り組んでいるともいえる。一方、第二の柱である「環境損害賠償制度の構築」にはまだ具体的には取り組んでいないが、第一の柱を土台とし、環境リスク概念を把握しながら検討することが求められるため、まだ具体的に取り組んでいないことは問題ではない。
これらを総合的に勘案すると、順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

リスク規制としては、可能性は低いが一度損害が発生すると極めて莫大な被害が生じる「ブラックスワン」問題に対する対処について1つの視座を得ることが重要となるため、原子力規制へのさらなる検討を進める。このような個別分野を通じて、環境リスク全般についての研究を更に深めリスク概念について統一的な視座を得ることを目指す。
そのためには、複数の研究会の開催や、海外及び日本国内からの法学研究者を招聘するシンポジウムを開催し、議論を重ねることが必要であると考える。このように、複数の研究者との議論や意見交換を前提とし、その上で、研究代表者・連携研究者・研究協力者が、「環境リスク規制」と「環境損害賠償制度の構築」について検討を加えることが必要となる。

次年度の研究費の使用計画

前年度の使用額において数百円の誤差があったからといえる。
数百円内の誤差であるため、問題はなく、旅費の一部に割り当てられると考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] 判例研究 公健法における水俣病認定 水俣病認定申請棄却処分取消等訴訟最高裁判決 水俣病認定申請棄却処分取消訴訟における審理・判断の方法[最高裁判所第三小法廷平成25.4.16判決]2014

    • 著者名/発表者名
      大塚直
    • 雑誌名

      Law&Technology

      巻: 62号 ページ: 52-58

  • [雑誌論文] 福島第1原発事故が環境法に与えた影響2014

    • 著者名/発表者名
      大塚直
    • 雑誌名

      環境法研究

      巻: 1号 ページ: 107-136

  • [雑誌論文] 環境法の理念・原則と環境権2014

    • 著者名/発表者名
      大塚直
    • 雑誌名

      環境基本法制定―環境法の過去・現在・未来

      巻: 17 ページ: 11-28

  • [雑誌論文] 安全性判断に係る「専門技術的」行政裁量に関する一考察 : 「受け容れ可能なリスクの水準」の決定に焦点を当てて2013

    • 著者名/発表者名
      藤岡典夫
    • 雑誌名

      早稲田大学大学院法研論集

      巻: 146号 ページ: 141-166

  • [図書] 予防原則と比例原則―環境リスク管理における「保護の水準」の分析から2014

    • 著者名/発表者名
      藤岡典夫
    • 総ページ数
      144
    • 出版者
      早稲田大学出版会
  • [図書] 環境法BASIC2013

    • 著者名/発表者名
      大塚直
    • 総ページ数
      501頁
    • 出版者
      有斐閣

URL: 

公開日: 2015-05-28  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi