本研究は、毎年度国際シンポジウムを行い、その結果、特にフランス法との比較を通して、民事訴訟を含めた環境リスク訴訟において、科学的不確実性が日仏双方で考慮されていることが明らかになった。すなわち、フランスでは、損害賠償に関し、過失については予防原則の影響が一定程度見られる一方、差止めに関しては、携帯電話の中継アンテナの差止を認容した下級審裁判例があることが注目される。また、環境リスクとしての原子力発電所の規制や民事差止訴訟に関する議論、団体訴訟、CSC条約(原子力損害の補完的補償に関する条約)における環境損害の扱いについて検討した。
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