研究課題/領域番号 |
25380142
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
神山 智美 富山大学, 経済学部, 准教授 (00611617)
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研究分担者 |
高橋 満彦 富山大学, 人間発達科学部, 准教授 (10401796)
井上 真 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (10232555)
高野 雅夫 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (90262849)
蔵治 光一郎 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (90282566)
三俣 学 兵庫県立大学, 経済学部, 教授 (10382251)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 所有権 / 自然資源管理 / コモンズ / アクセス権 / 森林 / 野生生物 / 中山間地保全 / 空家の管理・活用 |
研究実績の概要 |
26年度は、(25年度に行った①実績を踏まえた適格な役割分担と法制度における課題の明確化を踏まえ、)②国内外の関連文献の渉猟並びに現地調査及びインタビューによる信頼性の高い一次資料の収集と、それらの資料の分析の実施をより進め、③隣接分野の専門家からの適切な助言の取り入れと、自然資源の「協働性」に基づく管理を行うための地域戦略という視点での法制度設計を試み、④研究成果の公表による地域社会への発信を行うことであった。 ②については、25年度に調査を実施した米国東部について、26年度は米国LEWIS& CLARK LAW SCHOOLのサマーセッションに参加して理論及び判例の情報収集もした上で、より深い分析を試みた。成果として、米国ペンシルバニア州の土地所有者と狩猟者のアクセス権との関係については論稿化した。また、25年度に国内調査地に選定した豊田市については、森林の管理のみならず、自然資源管理全般を持続的に行うためには、中山間地域の農山村の維持が必須といえ、そのための土地利用の一つのケースとして空家の管理及び利用にも関心を持ち、検討を進めている。 ③については、「コモンズ論(井上真・三俣学)」「現場からの検討(蔵冶光一郎・高野雅夫)」を研究分担者に迎え、適宜助言を得ながら研究を進めている。また、「現場からの検討」及び「コモンズ論」からの知見を皆で共有する為に研究会を2回(26年10月豊田市にて科研研究会、27年4月富山大学にて科研研究会を拡大する形で公開の関西コモンズ研究会として)開催し、研究報告及び意見交換を行った。公益性の議論と、地域戦略の意義付けと位置づけについて議論を深めた。 ④については、26年8月開催の自治体学会で、分科会「放棄人工林・耕作放棄地・空家 中山間地の「お荷物」を未来の資産に」を開催した。いくつかの自治体との交流が始まることにもつながっており、「現場からの検討」をより深める端緒ともなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内現行法制度についての現時点の到達度についても、25年度の森林法制に関する論稿に加え、26年度は鳥獣保護法改正にあたり鳥獣行政に関しての論稿を公刊できた。 25年度に実施予定であった米国東部の現地調査及び26年度実施予定であったドイツの現地調査を、25年度に終了している。その結果を踏まえて、26年度は、米国東部の現地調査を踏まえての論稿も公刊できた。 また、国内調査地として豊田市を選定し実地調査及び2回の研究会を実施する過程で、研究分担者との人間関係も構築できた。同様に、自治体学会学会において分科会を開催したことを契機としても、同様の蓄積が可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる27年度は、②国内外の関連文献の渉猟並びに現地調査及びインタビューによる信頼性の高い一次資料の収集と、それらの資料の分析の実施をより進め、③隣接分野の専門家からの適切な助言の取り入れと、自然資源の「協働性」に基づく管理を行うための地域戦略という視点での法制度設計を試み、④研究成果の公表による地域社会への発信を行う。特に、2度の研究会及び自治体学会での分科会企画において隣接分野の方々からいただけたご指摘をより丁寧に検証して、法制度に盛り込んでいくことに重点をおきたい。 なお当初の計画では、最終年度に④の一部として、豊田市における社会実験を想定していた。これは、森林管理及び野生鳥獣管理に関するものを想定していた。しかしながら、研究の過程で「コモンズ論(特に協治原則)」への認識が進展し、なかでも公益性が一つのキー概念であり、近年公益性が増してきている分野における保全のための法制度設計検討の必要性を考えるにいたった。その結果、中山間地域の土地利用の一つのケースとして空家の管理及び利用等についての住民提案型の試みを進行中であり、これをもって社会実験と代える所存である。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用額が生じた主な理由は、研究分担者高野が他の助成金を活用しており、経費削減に努めたためである。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度は、「今後の推進方策」のとおり遂行予定である。 最終年度ということもあり、そのまとめのための必要経費として研究分担者に分担金として600千円(200千円×3名、合計600千円、他の2名については 分担金は0円とする。理由は一人は同学内であること、もう一人は自身の研究費で対応可能であるため)、研究会開催費及び国内調査費(研究会は国内2回、それに出来るだけ合わせての現地調査会は国内3回予定、合計300千円)、社会実験及び豊田市調査費用(100千円)、資料代・関連書籍費用等(300千円)が支出計画である。 前年度の未使用金(特に高野分)は、最終年度の研究成果まとめのためのアルバイト謝金として活用する予定である。
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