消費者団体には、顧客消費者団体(customer consumer group)と市民消費者団体(citizen consumer group)という2つのモデルがある。このうち主要先進国の支配的なモデルとなっているのは、アメリカの消費者同盟(Consumers Union: CU)を起源とする前者のモデルである。そこで本研究の目的は、この顧客消費者団体のモデルが、日本、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギーでどのように受容・展開されていったのかを明らかにすることである。具体的には、各国の団体の組織および政策選好の相違を、それぞれの背景にある制度的・理念的な要因、およびそれらによって形成された団体の持つ合理性の点から明らかにしようとする。 なお本研究は、当初は韓国の消費者団体も対象としていた。しかし昨年度からの研究の過程で、本年度より、検討の対象として、CUのモデルの受容と展開をより辿りやすいオランダとベルギーの団体を加え、韓国の団体を外した。 平成28年度には、前年度までに行った作業、つまりアメリの4つの消費者団体の訪問調査に基づくモデルの再検討、その影響を受けて設立されたイギリスのConsumers Association、フランスのUnion Federale de Consommateurs、ドイツのVerbrauchenzentrale Bundesveraband、イタリアのAltroconsumo、そして日本の団体の調査を踏まえ、ベルギーのTset-Achatsの訪問調査、およびオランダのConsumentenbondの文献による研究を実施した。その成果については、平成28年度中には公表できなかったため、平成29年度前半より、まずはヨーロッパ全体におけるCUのモデルの受容についての論文、続いて各国の団体についての論文として公表する。
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