本研究では、おもに日本、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデンの福祉国家再編を検討し、その方向性の分岐と政治的要因を検討した。今日の先進国では、福祉政策は「社会的投資戦略」へと向かっていると言われる。しかし本研究では、次の二つの方向性の分岐を明らかにした。一つは、福祉支出を削減し、失業層や低所得層に就労を強制する「ワークフェア」政策である。もう一つは、ライフスタイルや働き方の多様な選択肢を保障する「自由選択」政策である。こうした分岐をもたらす要因は、トップダウン型の意思決定か、ボトムアップ型の意思決定かというデモクラシーの形の違いにある。
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