今後の研究の推進方策 |
日本とイギリスの首相の補佐体制の変容について歴史的に把握する。日本については総理府および内閣府のあり方を探るとともに引き続き内閣官房の役割を研究する。一方、イギリスについては内閣府と首相府のあり方が変容する過程を理解することに務める。 また、引き続き日本の内閣の主要政策の調査を行う。また、イギリスについても戦後の内閣の主要政策の把握を続け、特にアトリー内閣からキャラハン内閣の政策についても把握することに努める。その際、日英両国において首相がみずからが重視する政策を立案、実現する過程について研究する。より具体的には、以下の事項を調査する。①いかに補佐体制を活用しようとしたのか。②いかに事前に与党の議員から支持を獲得しようとしたのか。③実際の法案の審議過程はどのようなものだったのか。この際、各内閣に関する先行研究を参照するとともに新聞記事、回顧録、国会議事録を活用する。また、可能な範囲で政治家や官僚に対しインタビューを実施する。 さらに分析枠組みの構築に着手する。構築にあたっては比較政治の関連分野における議論を参考にする。関連分野の先行研究を把握し、分析枠組みの構築に着手する。参考となるのは首相およびその補佐体制を総体として扱う考え方を提示した研究(Rhodes and Dunleavy, Prime Minister, Cabinet and Core Executive)、首相と他の政治アクターの関係を本人代理人関係で捉えた研究(Kaare, Muller and Bergman, Delegation and Accountability in Parliamentary Democracies)、政策立案者は政策を成立させる上で支持を獲得することが必要な政治アクターの考えを予め織り込んでいるという研究(Cameron, Veto Bargaining)である。
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