東アジアと西洋近代の政治思想における共通基盤を探るという問題関心から、朝鮮の国際政治思想を中心に研究を行った。第一に、1910年の国際政治思想については、儒学と西洋思想の間の複雑な関係性-衝突だではなく融合なども-が存在していたことを明らかにした。次に、3.1万歳運動における儒学の影響については、安東地域を中心とする研究の結果、儒学思想にウィルソン主義に共鳴する道徳的な要素があったことが、儒学者がこの激しい政治運動に参入した思想的原因であることを明らかにした。最後に、権五ソル(1897-1930)の事例などから、1920年代には儒学的な思考方法による社会主義への接近があったことを明らかにした。
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