研究課題
本研究では,プリンシパル・エージェント理論を準拠しつつ,わが国の地方政府内の委任・監督構造の考察を進めている.特に,地方政府内部での一貫性を保ちながら,受任側の自律性を確保する二つの課題を実現するうえでの前提条件を考察すべく,理論点・実証的な研究を進めている.平成26年度は,次の3つの研究をすすめた.一つめは,委任と監督制度に関する関連資料の収集と整理である.前年度に引き続き,各自治体の例規集,行財政改革関連の計画等を中心に資料収集と分析を進めた.二つめは,委任と監督の制度運用と具体化の過程の把握に焦点を当てた聞き取り調査の実施である.前年度の研究実績からも,委任と監督の現状を把握するうえでは,一般的に論じるだけではなく,個別実例からの接近と考察の必要性から,施設空間管理をめぐる委任と監督に関する聞き取り調査を実施した.調査対象は,当初の実施予定であった政令指定都市,特別区から,情報収集の実現可能性を考慮し,他市町村に変更紙実施した.三つめは,関連資料・情報等の収集である.委任と監督に関する自治体の行政運営や行政手法,政策実施等に関する文献収集を継続的に実施した.以上の研究を通じて,平成26年度には,地方政府内での首長と職員間での委任と監督に関する研究成果を提示することができた.
2: おおむね順調に進展している
理論的な考察や行政資料の収集,現地調査等を通じた委任と監督の現状分析は,平成25年度に引き続き順調に進展することができた.他方で,聞き取り調査に関しては,調査対象自治体との調整から,当初計画から対象自治体を平成25年度と同様に変更することになった.
平成25,26年度には実施が叶わなかった聞き取り調査の対象自治体への調査を可能な限り進めることで,地方政府内部での委任と監督制度に関する特性の把握に努める.研究成果に関しては,引き続き,順次,公刊を進めていく.
聞き取り調査の対象変更におり,使用額を変更することとなった.
物品費での実施を予定する.
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年報行政研究
巻: 49 ページ: 224-227
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