研究課題/領域番号 |
25380163
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
浅羽 祐樹 山口県立大学, 国際文化学部, 准教授 (70403912)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 憲法裁判所 / 司法制度論 / 比較執政制度論 / 非選出機関 / 現代韓国政治 |
研究概要 |
本研究の目的は2つある。1つは、韓国の憲法裁判所について、司法制度論の研究成果を活用し、多国間比較と時系列比較の中に位置づけることで、執政・議会間の憲法権限や選挙制度による選好配置によって定まる政策決定過程を解明する上で、非選出部門の役割を看過してきた比較執政制度論を補完することである。もう1つは、憲法裁判所という制度の生成・持続・変化のダイナミズムや、その政治的帰結に注目することで、民主化・改憲時における制度選択や新興民主主義国家の定着において非選出部門が果たしている役割を明らかにすることである。 初年度である今年度は、司法制度論や比較執政制度論、さらには制度研究全般の研究成果をレビューし、その知見を整理することで仮説の構築に取り組んだ。従属変数としては、大統領や議会など選出部門からの独立性や選出部門との憲法権限の配分は、多国間比較においても同一国の時系列比較においても差が見られるが、その要因として執政制度の分権性と執政・議会間の党派構成が重要であることを確認した。また、独立変数としては、憲法裁判所が強いほど、法律の意見審査において司法積極主義になることを確認した。 成果は次のとおりである。第1に、アジアにおける大統領制の比較研究において韓国事例について担当し、韓国の大統領は憲法権限では強いが政策アジェンダの立法化に失敗してきた理由の一つとして憲法裁判所の存在を指摘し、比較執政制度論が司法制度論によって補完される必要性を示した。 第2に、民主主義体制の持続と憲法の関係について、韓国内の時系列比較を行い、多数派と少数派の両者にそれぞれ自制と同意を促す誘引構造を内在化する上で、選出部門同士の関係だけでなく、非選出部門との関係も重要であることを示した。 第3に、憲法裁判所が内政だけでなく日韓関係など外交においても拒否点になっていることを示し、現代韓国政治に対する理解の向上に資した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画どおり、仮説の構築は先行研究をレビューする中で着実に行い、一部、その成果を公表することができた。
|
今後の研究の推進方策 |
2年目は、1年目に構築した仮説を検証するために、計画どおりデータベースの構築を行うと同時に、理論的なレビューも並行し、常に仮説自体の見直しも行う。
|