研究課題/領域番号 |
25380165
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
森 裕亮 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (00382408)
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研究分担者 |
横山 麻季子 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (00458100)
鶴田 芳貴 青山学院大学, 国際政治経済学部, 准教授 (00547086)
濱本 真輔 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (20625850)
狭間 直樹 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (90382407)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 市町村合併の効果 / 基礎自治体 / 効率性 / 公平性 / 公共サービスとアウトプット |
研究実績の概要 |
本年度は、研究全体の最も重要な年度であり、初年度に実施した諸作業に依拠しつつ、実証研究を本格的に進めた。研究実施体制については、行政組織と「民間企業・非営利団体」との接点考究、行政組織と「住民」(住民参加)との接点考究、行政組織と「議会」との接点考究として、これらのテーマごとに研究メンバーが個別・共同で実証作業に当たった。 とりわけ本年度の大きな事業は全国市区への質問紙調査の実施である。第1に、質問紙調査の準備段階として初年度来取り組んできた市区の合併等に関するデータセットの整備を年度前半に実施し、各々のメンバーにおいてリサーチクエスチョンの設定や仮説形成の作業に取り組んだ。第2に、第1と同時に、質問紙調査における仮説形成に活かすため、基礎自治体の効率性と公平性に関する概念整理を研究会において初年度に引き続き行った。特に組織理論のアプローチを援用して概念間の整理を検討した。そして第3に、質問紙調査に付随する諸事業を実施した。特に、質問紙の設計が年度後半の大きな事業となった。「平成の大合併と基礎自治体のこれからを考えるためのアンケート」と題して、全国813市区(企画、建設、福祉、産業の4部署)を対象に郵送法によって質問紙を配布した。2015年3月現在の回収率は、約35%であった。3月に一度返送確認を行ってはいるが、分析の精度をもう少し高めるため、本調査事業を次年度にも継続して実施する予定である。他方、インタビュー調査は引き続き次年度で本格的に実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
質問紙調査における質問紙の設計が予想以上に難航した。当初は、全ての市区及び各部署に対して、同じ種類の質問紙を送付する予定であった。しかしながら、先行研究や先行調査を詳細に解析していった結果、先行研究・調査において意外にも合併の実態に関して不明瞭なままになっている点が多く、結局合併をめぐる詳細な設問が増え、合併市区用の質問紙と非合併市区用の質問紙を別々に用意しなければならなくなったことなどから、夏頃から始めた質問紙設計の作業は翌年2月までかかった。延べ5回の検討会、それに付随する準備作業で年度を通してまるまる1ヶ月から2ヶ月を要してしまった。ただ、何とか質問紙調査は年度内に実施することができた。一方で、質問紙調査にエネルギーを費やさざるを得なかったため、インテンシブなインタビュー調査は実施することが出来ていないが、合併自治体に関するデータセットを各種情報から整備して、合併の影響や課題等を検討することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は最終年度であり、必要な文献を追加的に収集しつつ、平成26年度に実施した質問紙調査の結果、そしてインタビュー調査の結果等を分析し、成果発表を積極的に行う。大きな課題は、質問紙調査である。調査自体は前年度中に実施出来たものの、質問紙の設計に時間がかかってしまい、送付時期が年度末となってしまったことから、回収率が思った以上にのびなかった。分析の精度を高める上でも、平成27年度にも継続的に調査を実施することとしたい。すでに、4月の時点で準備を始めており、6月末までに回収作業を終える予定である。この諸作業が遅延すれば成果発表が出来なくなるために、当初研究協力者(院生等)によるデータ入力作業を想定していたが、専門業者を活用(業務委託)することで迅速にデータセットの整備を実施する。 また、インタビュー調査も併せて実施しなければならないが、年度内に成果発表作業に出来る限り取りかかるために、すでに専門誌・紀要への投稿、学会セッションへの応募等を検討している。最終年度であることからも、ゴール地点を先に設定することで研究事業全体がのびのびにならないようにタイムキーピングを行うこととしている。
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次年度使用額が生じた理由 |
第1に、質問紙調査の準備過程に相当の時間を要したからである。当初計画においては、平成26年度の11月前後までに質問紙調査を実施し、当該年度内に入力作業を実施する予定であったが、質問紙の設計に想定以上の時間を要し、調査実施時期が年度末となってしまったことから、入力作業を年度内に行うことが出来なかった。平成27年度開始と同時に、調査データの入力作業に要する資金を確保しておく必要があった。第2に、第1と関連して、体系的なインタビュー調査実施に割く時間を確保できなかったからである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額は主として質問紙調査結果の入力に要する資金として使用する。計画当初は、院生等に入力を依頼することを検討していたが、入力を迅速かつ正確に進めるため、専門業者への業務委託を行うこととする。加えて、インタビュー調査にかかる旅費としても使用する。
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