研究課題/領域番号 |
25380168
|
研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
藤田 由紀子 学習院大学, 法学部, 教授 (00338584)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 公務員制度改革 / 英国公務員制度 / PSG |
研究実績の概要 |
本研究は、英国公務員制度において、その専門性を担う政府内プロフェッショナル・グループの内部管理に着目し、各グループの専門性の向上や政府内におけるプレゼンスの変化について分析することを目的としている。 まず、政府内プロフェッショナル・グループの再編を促した、労働党政権時代の行政改革プログラムである Professional Skills for Government(PSG)について、その導入の背景、PSGの成果を考察し、さらに、労働党政権から保守党・自民党連立政権への移行に伴って「専門性」の意義が変容したことを見出し、それらの研究成果を拙稿「英国公務員制度改革における『専門職化』の意義」(『季刊行政管理研究』No.146、2014年)にまとめた。 次に個別のプロフェッショナル・グループの調査・考察に移り、まずは「政策プロフェッション」について、その形成プロセス、内部管理の現状、専門性の構築に関する考察を行い、その成果を拙稿「政策的助言・政策形成の専門性はどこまで定式化できるか-英国公務員制度改革におけるポリシー・プロフェッションの創設」(『年報行政研究50』、2015年)にまとめた。 これらに引き続き、法務、内部監査、人事、財務、統計など主要なプロフェッショナル・グループについて、各々の内部管理や戦略、専門性への影響などに関する考察を、これまで実施したインタビュー調査や収集した資料などをもとに並行して行っており、それぞれの研究成果を公表するために準備を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
個別の政府内プロフェッショナル・グループに関する考察を並行して進めているが、「政策プロフェッション」を除いて、成果の公表までには至っていない。 研究の遅れの理由として、平成27年4月1日付で本研究代表者が所属機関を移籍したことに関連して、移籍前後の諸業務や移籍後の新しい機関での教育活動などのために、平成27年度には本研究課題を遂行するための十分な時間を確保できなかった。これに加え、平成28年度には親族や家族の病気が相次ぎ、やはり本研究課題への取組みが十分にできなかったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
個別の政府内プロフェッショナル・グループの内部管理と専門性に関する考察を精力的に進め、主要なグループに関する成果の公表を目指す。 さらに、本研究課題の最終目標である、政府内プロフェッショナル・グループの内部管理や戦略が専門性の向上にどのように影響しているか、さらに、それらが政府内におけるプレゼンスの変化にどのように影響しているかについて、政権の移行など外部環境の変化による影響にも留意し、最新の情報を収集しながら考察する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
予定していた現地調査を、実施直前に親族の病気により中止せざるを得ず、実施できなかったことが次年度使用額が生じた最大の理由である。また、平成28年度に実施した研究においては、前年度までに収集した資料(インタビュー記録等を含む)や購入済みの書籍を活用し、最新の情報については主にインターネットから収集したために、経費をほとんど使用する必要がなかったためである。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には、本研究課題の取りまとめに必要な最新の情報を入手するために、現地調査を実施する。その際のインタビュー調査の録音記録を文字におこす作業などを業者に委託する。また、調査・研究に必要な資材や、新しい出版物の購入、リサーチ・アシスタントの活用などに経費を使用する予定である。
|