本研究は、戦前日本の「財界」が戦後どう再編・確立されたかを次のように検討した。まず明治以降現代に至る「財界・ビジネス」出身閣僚を抽出して分析した結果、1932年から1960年頃まで池田成彬ら「財界」中枢を中心とする「財界」枠が継続していたこと、その後「財界」と政治との関係が大きく変わり、代って「労働集約型ビジネス政治家」、さらにその後「ロビイスト型政治家」が進出したことを明らかにした。また、代表的財界人三人のアジア主義や対米関係との関わり方の違いを経時的に分析し、財界を基盤とするアジアでの「広域総合開発」や民間経済ルートを検討することで、戦後財界とアジア太平洋との関係についても議論した。
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