研究課題/領域番号 |
25380174
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
江上 能義 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (10117567)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 沖縄開発庁 / 沖縄振興開発計画 / 沖縄総合事務局 / 沖縄開発金融公庫 / 沖縄振興開発特別措置法 / 沖縄県 / 北海道開発庁 / スコットランド庁 |
研究概要 |
本研究の研究目的である沖縄開発庁とその沖縄振興開発政策の検証のために、まず第1に、貴重な政府関係基礎資料である『沖縄開発庁十年史』や『沖縄振興開発金融公庫二十年史』をはじめ、沖縄振興開発の政策や組織に関する資料をした。また関連する資料として北海道開発庁やスコットランド振興開発の政策や組織に関する資料も収集した。 第2に、沖縄開発庁および沖縄振興開発政策の運営推進に関わってきた日本政府側の元官房副長官の古川貞二郎氏、元官房長官/沖縄開発庁長官の野中広務氏、沖縄県側の元県知事の稲嶺恵一氏や元政策調整監の与儀朝栄氏の各氏に対して面接調査を行ない、質疑応答も行なった。これらの貴重な証言はオーラル・ヒストリーとして本研究の報告書に掲載する予定である。 第3に、沖縄開発庁やその振興開発政策に関する学術的なアンケート調査はこれまで実施されていないので、本研究の初年度(平成25年度)の10月に、沖縄県全自治体(42)の行政首長と議会議長を対象に、沖縄開発庁とそのっ振興開発政策の評価等に関するアンケート調査を実施した。この集計結果のデータや考察は本研究におおいに資すると思われる。 第4に、本研究に関連して、北海道・札幌市と中国海南島・海口市三亜市に調査研究を行なった。沖縄開発庁は北海道開発庁をモデルにして設立したと言われているが、北海道開発庁やその振興開発政策の専門家である北海道大学の山崎幹根教授に面接調査をして、こうした経緯や両者の類似点や相違点などについて貴重な意見を伺った。また海南島は平成9(1997)年以来、今日まで「島嶼観光政策フォーラム」を通じて、沖縄や済州等やバリ島と観光政策に関して協力提携を行なってきた実績がある。海南島の開発政策や観光政策はわが国でほとんど知られていないので、現地調査を通じて海南大学観光学部の教授たちや海南州観光発展局の部長等から貴重な証言を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度の研究実施計画に沿って、全体として計画通りに実施され、研究実績が蓄積された。まず第1に、計画通り、絶版となっている貴重な政府関係基礎資料を始め、研究目的のための資料収集が順調に進んでいる。第2に、研究代表者は平成15年度から16年度にかけて、科研費や早稲田大学の特定課題研究助成費を通じて、沖縄開発庁の設立当初から関わってきた関係者に対して面接調査を行ない、オーラル・ヒストリーとして彼らの証言を記録に残してきた。平成25年度の本研究実施計画に基づき、4名の中心人物の面接調査を実施することによって、さらにこの部分を補強することができた。第3に、計画通りに、本研究テーマに沿ったアンケート調査の準備と実施を沖縄県内全市町村対象に行なうことができた。第4に、平成25年度実施計画には含まれていなかったが、北海道開発庁の専門家であ北海道大学教授の山崎教授に面接調査を行なうことができ、沖縄開発庁およびその政策に関しても貴重な知見を得ることができた。また同様に研究計画にはなかった海南島の現地調査は沖縄の振興開発政策や観光政策に関して、おおいに参考になった。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の研究実績に基づき、沖縄開発庁が廃止された後の日本政府と沖縄県の沖縄振興計画および沖縄振興策について、詳細に考察する。その際に、琉球大学や沖縄国際大学、沖縄大学の研究者もしくは行政担当者など、さらには北海道開発の諸専門家とも研究会などで意見交換する。 平成25年度に続いて、最近の沖縄振興政策の行政動向を考察する上で重要な行政側の要人に面接調査をして、できればオーラル・ヒストリーに加える予定である。 また平成25年度に実施した沖縄自治体対象のアンケート集計結果について、分析し考察する。 今年度9月より1年間、研究代表者はサバティカルで英国スコットランドのエディンバラ大学にて研修する予定であるので、これまでの研究蓄積に加えて、 研究目的の一環であるスコットランドの地域振興政策および地域分権(Devokution)関係の資料収集と面接調査に従事する。併せて今年度9月に予定されているスコットランドの独立に関する住民投票について調査する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度に購入する予定で書店に注文していた書籍が会計締め切り直前にキャンセルになった。 キャンセルの資料を次年度に購入する予定である。
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