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2014 年度 実施状況報告書

デモクラシーと宗教:政治思想史、政治理論、地域研究の総合的アプローチ

研究課題

研究課題/領域番号 25380176
研究機関早稲田大学

研究代表者

飯島 昇蔵  早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (80130863)

研究分担者 厚見 恵一郎  早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (00257239)
谷澤 正嗣  早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (20267454)
石川 涼子  立命館大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (20409717)
近藤 和貴  青山学院大学, 国際政治経済学部, その他 (70434214)
高田 宏史  国際基督教大学, 付置研究所, 研究員 (20513469)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワードソクラテス / レオ・シュトラウス / デモクラシー / 熟議 / 宗教 / 多様性
研究実績の概要

本年度は各個人の研究に力を入れた。飯島は全体を統括するとともにシュトラウスにおける「神学-政治問題」について研究した。『スピノザの宗教批判』における「宗教批判」の伝統の若きシュトラウスによる類型化と分析を紹介し、その類型化の不十分さ(ソクラテス裁判の不在など)を指摘するとともに、アリストテレスおよびパドゥアのマルシリウスの政治哲学に関する成熟期シュトラウスの解釈の吟味を通して、前近代における宗教批判の再検討の必要に触れ、最後に「宗教批判――古代と近代」という問題提起に繋がりうるいくつかの考察を展開した。
近藤は、主にソクラテスの生を手掛かりに、一方における哲学と、他方におけるデモクラシーと宗教の関係について研究を行った。ソクラテスは民衆裁判で無神論を理由に処刑されている。これを主題にしたプラトン『弁明』を読解することを通じて、ソクラテスが哲学と政治の対立を前提としつつも、両者の共存可能性を模索していることを示した。
石川は、カナダの事例を手がかりに政府の中立性について政治哲学の観点から考察した。芸術文化支援についての経済的アプローチと卓越主義的アプローチを概観した上で、芸術文化の多様性の保護と政府の中立性の確保という二つの要請をいかにして調整し、両立させるかが課題であることを示した。
厚見は、ジョン・ロックの思想における神学的要素と世俗的要素との関係について、レオ・シュトラウスのロック解釈を検討することでひとつの見方を示した。ロックの思想のうちに、啓示の可能性を否定するアヴェロエス主義の哲学を読み取るシュトラウスのロック解釈は、近代におけるデモクラシーと宗教の緊張関係の一端を示唆していると考えられる。
谷澤は、熟議デモクラシー、デモクラシーと正義、デモクラシーと言論の自由について研究した。とくに「熟議の日」構想で啓蒙主義的理性に寄せられている過剰ともいえる期待を確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概ね予定通りであるのは、各研究者がそれぞれの問題関心にそって着実に研究を展開し、その成果を国内外で発表しているからであると思われる。

今後の研究の推進方策

今年度は、2回ほど全員が集まって、研究報告を行い、3年間の研究をまとめたい。
9月の末には、フィレンツェ大学のダニエラ・コーリ教授を早稲田大学に招待し、「スチュアート朝イギリスにおけるホッブズ、ローマ、マキアヴェッリ」というタイトルで講演をしていただき、この期間における宗教と政治の関係についてのホッブズとマキアヴェッリの理解の異同の理解に努めたい。
近藤をはじめとする40代の若手には海外での英語による研究発表を強く奨励する。

次年度使用額が生じた理由

諸事情により共同研究の機会をもつことができず、個人研究が中心となったため、海外での研究報告会を開催できなかったことなどによる。

次年度使用額の使用計画

2015年度が最終年度に当たるが、近藤をはじめとする若手の研究者に傾斜的に多くの額を配分し、個人研究を進めてもらうほか、昨年度はもてなかった共同研究会合の機会をもつことも検討中である。

  • 研究成果

    (16件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 図書 (5件)

  • [雑誌論文] 芸術文化政策をめぐる政府の中立性の考察2015

    • 著者名/発表者名
      石川涼子
    • 雑誌名

      立命館言語文化研究

      巻: 26 ページ: 79-90

  • [雑誌論文] レオ・シュトラウスはジョン・ロックの自然法論をどう読んだか2015

    • 著者名/発表者名
      厚見恵一郎
    • 雑誌名

      政治哲学

      巻: 18 ページ: 38-63

    • 査読あり
  • [雑誌論文] レオ・シュトラウスの『スピノザの宗教批判』と「神学-政治問題」についての若干の考察2014

    • 著者名/発表者名
      飯島昇藏
    • 雑誌名

      武蔵野法学

      巻: 1 ページ: 123-160

  • [雑誌論文] レオ・シュトラウスのNatural Right and Historyの邦訳のタイトルについての覚え書き2014

    • 著者名/発表者名
      飯島昇藏
    • 雑誌名

      武蔵野大学政治系研究所年報

      巻: 9 ページ: 131-165

  • [雑誌論文] クセノフォン『オイコノミコス』における教育と哲学2014

    • 著者名/発表者名
      近藤和貴
    • 雑誌名

      政治哲学

      巻: 17 ページ: 68-98

    • 査読あり
  • [雑誌論文] “Socrates’ Rhetorical Strategy in Plato’s Apology,” Athens Journal of Humanities & Arts, Vol. 1, No. 4, 2014, pp. 317- 327.2014

    • 著者名/発表者名
      Kazutaka Kondo
    • 雑誌名

      Athens Journal of Humanities & Arts

      巻: 1-4 ページ: 317-327

    • 査読あり
  • [学会発表] シュトラウスはロックの自然法論をどう読んだか2014

    • 著者名/発表者名
      厚見恵一郎
    • 学会等名
      第27回政治哲学研究会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-09-10
  • [学会発表] レオ・シュトラウスのNatural Right and Historyの邦訳のタイトルについての覚え書き2014

    • 著者名/発表者名
      飯島昇藏
    • 学会等名
      第27回政治哲学研究会
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2014-09-09
  • [学会発表] Reputation and Virtue: The Rhetorical Achievement of Socrates in Xenophon’s Apology2014

    • 著者名/発表者名
      近藤和貴
    • 学会等名
      The Political Theory Seminar
    • 発表場所
      Uppsala University
    • 年月日
      2014-08-28
  • [学会発表] Philosopher and Prejudice: Socrates’ Treatment of the First Accusers in Plato’s Apology.2014

    • 著者名/発表者名
      近藤和貴
    • 学会等名
      The 26th Conference on Political Philosophy.
    • 発表場所
      Ritsumeikan University
    • 年月日
      2014-08-03
  • [学会発表] Socrates’ Rhetorical Strategy in Plato’s Apology.2014

    • 著者名/発表者名
      近藤和貴
    • 学会等名
      ATINER, 9th Annual International Conference on Philosophy.
    • 発表場所
      Titanian Hotel Athens
    • 年月日
      2014-05-26
  • [図書] 西永亮編『シュトラウス政治哲学に向かって』、(第3章「哲学と宗教」担当)2015

    • 著者名/発表者名
      飯島昇藏
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      小樽商科大学出版会
  • [図書] 西永亮編『シュトラウス政治哲学に向かって』、(第5章「ソクラテスの葬送演説:プラトン『メネクセノス』における弁論術と教育」担当)2015

    • 著者名/発表者名
      近藤和貴
    • 総ページ数
      262
    • 出版者
      小樽商科大学出版会
  • [図書] 正義はどう論じられてきたか-相互性の歴史的展開2015

    • 著者名/発表者名
      デイヴィッド・ジョンストン/谷澤正嗣・近藤和貴ほか訳
    • 総ページ数
      257+vii
    • 出版者
      みすず書房
  • [図書] ギリシア政治理論-トゥキュディデスとプラトンにおける男のイメージ2014

    • 著者名/発表者名
      ディヴィッド・グリーン/飯島昇藏・近藤和貴ほか訳
    • 総ページ数
      258
    • 出版者
      風行社
  • [図書] 熟議の日-普通の市民が主権者になるために2014

    • 著者名/発表者名
      ブルース・アッカマン/ジェイムズ・フィシュキン/谷澤正嗣ほか訳
    • 総ページ数
      336+viii
    • 出版者
      早稲田大学出版部

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公開日: 2016-05-27  

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