研究課題/領域番号 |
25380180
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
真山 達志 同志社大学, 政策学部, 教授 (50199915)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 危機管理 / 意思決定 / 行政組織 / 自治体 |
研究実績の概要 |
平成27年度においては、26年度に実施した全自治体対象のアンケートの集計作業を行い、回答結果の信頼性の確認と分析のための基礎資料を集めるために、研究代表者の居住地及び勤務地周辺の自治体において、危機管理担当者に対する聞き取り調査を実施した。一部の設問については、回答者の職位や組織上の位置づけによっては回答しづらいものもあるという指摘はあったものの、アンケートの質問項目の適切さが確認され、またデータ分析の枠組みを確立することができた。 27年度末から、上記の調査、検討の結果を踏まえてデータの分析を開始している。具体的には、第1に、危機管理担当者の職位、専門性に関する回答と、地域、自治体規模、大規模危機の経験の有無などの回答とのクロス分析、第2に、危機管理担当者の専門性とキャリアパスとの関係の分析などを行っている。 現在のところ、都道府県および大規模自治体では危機管理担当者の専門性が一定程度確保されているが、多くの基礎自治体では十分な専門性が確保されていない傾向が確認できている。また、担当者の専門性を確保する手段としては、消防部門からの異動を除いては内部の人材育成によるのではなく、自衛隊、警察など行政外部からの人材登用で対処していることも確認できている。これらの外部からの登用の場合、危機管理の専門性については一定の水準が確保されているが、回答を分析すると、組織管理や行政内での意思決定を的確に行うことについての経験やノウハウについて検証が必要と思われる。この点については、アンケート結果からだけでは判断がつかないので、次年度のヒアリング調査で検証していくことが必要であると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
初年度に大規模災害が相次いだため、調査対象の自治体危機管理部署が多忙をきわめたことから、調査活動の開始を大幅に遅らせざるを得なかった。 一方、全自治体対象のアンケートにおいては、予想を超える回答を得るという嬉しい誤算があり、データ入力に時間を要することになった。 加えて、研究代表者が副学長職を拝命したため、大学の管理運営等の業務に忙殺されることが多くなり、十分な研究時間を確保できない状況が続いた。 以上のような事情のため、研究の進捗が遅れることになった。なお、補助事業期間延長を申請し、過日、承認されたところである。
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今後の研究の推進方策 |
補助事業期間延長が承認されたことにより、28年度にアンケートの分析及び実務家に対するインタビュー調査を実施し、それらの成果に基づいて自治体危機管理組織の現状と課題を明らかにする。併せて、望ましい危機管理体制の提言を行う。 以上の、研究成果を報告書にまとめるとともに、自治体危機管理学会で報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
前述の通り、諸般の事情で研究計画が遅延せざるを得なくなった。とりわけ、研究代表者が副学長になったため、計画していた全国規模でのインタビュー調査を実施することが日程的に困難になった。
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次年度使用額の使用計画 |
副学長職の任期が終了したことから、インタビュー調査を実施することが可能となった。これにより、当初の予定の調査を実施するとともに、学会報告等を行う予定であるため、当初計画に沿った旅費等の支出が予定される。
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