研究課題/領域番号 |
25380185
|
研究機関 | 実践女子大学 |
研究代表者 |
柑本 英雄 実践女子大学, 人間社会学部, 教授 (00308230)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | マクロリージョン / スケール / ガバナンス / ステークホルダー / 北海 / EGTC / EU地域政策 / 領域的結束 |
研究実績の概要 |
本研究は、国家領域を基礎構成単位としない“ソフトな領域”「マクロリージョン」の登場により、EUの「領域的結束」がどのように変化したのかを明らかにする。今年度は、地方政府ネットワークであある北海地域委員会(NSC)がガバナンス形成を主導する「北海マクロリージョン」に焦点を当て、ステークホルダーの観点も視野に入れ、政治決定メカニズムと権力共有システムの分析を行った。これによって、「州レベルの地方政府からボトムアップでカバナンスのルール作りが積み上げられ、週単位ネットワークによっても領域的結束を強化していること」が確認できた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バルト海・北海沿岸地域などで「空間スケールを超えて活動する行為体」間の利害調整を検証する過程で、Douglas Clyde Wilsonらの海洋資源クロススケールリンケージ分析手法を国際政治学のガバナンスの観点から修正・発展させたモデルについての研究成果を、『EUマクロリージョンの研究』として勁草書房から2014年11月に出版した。その中で、各EUマクロリージョンは政治的・経済的・社会的・地理的にそれぞれ特殊性を有し、クロススケールガバナンスの規範形成プロセスをリードする行為体が、国家システムの問題群を超克・解決する役割を担い、EUの領域的結束とEU周辺地域との領域的連携を高めている点を明らかにしている。
|
今後の研究の推進方策 |
北海マクロリージョンの中心的行為体・英国アバディーン州政府について現地調査を行う。本調査は、北海戦略執筆班リーダーや、最終草案提出先である英国議会上院議員らにインタビューにより、マクロリージョン主導の手法を明らかにする。また、ストックホルム大学レジリエンス研究センターにおいて、3年間のマクロリージョンガバナンス調査結果に基づいた最終的なモデル類型化の議論を行う。そして、ここまでの欧州研究調査と文献の検証で得られた知見から、地方政府主導型のガバナンス形成によってEUの領域的結束が強化されていること(本仮説)の最終的立論の完成を目指す。さらに、研究成果を和文報告書および英文ワーキングペーパーにまとめ、NSCへのフィードバックと実務家・EU地域政策研究分野への貢献とする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
学会への参加が体調不良のため不参加となったことにより、その出張旅費が不使用となったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
学会参加のための出張旅費として支出する予定。
|