本研究で事例としてとりあげた「EU北海マクロリージョン戦略」ドラフト作成プロセスの検証によって、国家によって独占されてきた堅牢な権力共有ヒエラルキーのガバナンスが崩れ、地方政府などが主導して規範・ルールが形成されつつあることが検証された。ソフトなマクロリージョンがEU地域政策容器として、漁業政策や地域政策、とりわけETCのようなINTERREG系のプログラム利害関係者の調整の場となり、既存のEU・国家・州などの政治空間スケールを越えたクロススケールの水平的ガバナンスが発現し、その結果、EUの領域的結束が強化されていることが明らかになった。
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