本研究は、冷戦後の国際関係において「共通の利益(common interest)」の認識はどのように形成されるのか、「共通の利益」の認識に影響を与える要素は何かを明らかにすることを目的としている。 本研究は、これまでの国際政治学において「共通の利益」をどのように位置づけられてきたのかを明らかにするとともに、現代国際関係における国際経済と安全保障の問題領域における事例を検討することにより、「共通の利益」を所与の前提としてきた先行研究の多くに対し、主体の多様化、不確実性の増大、国際社会と国内社会の関連性の増大が「共通の利益」の認識の相違をもたらすことを明らかにした。
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