研究課題/領域番号 |
25380190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
秋山 信将 一橋大学, 大学院法学研究科, 教授 (50305794)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 核不拡散 / 日米関係 / 国際秩序 / 原子力 |
研究概要 |
平成25年度は、2次資料の読み込みを中心に、現時点で明らかになっている事実関係および日米原子力協力の交渉の流れ等についての把握に努めた。特に、1970年年代の東海村再処理工場をめぐる日米交渉について、および1980年代の日米原子力協力協定の改定をめぐる日米交渉の二つの交渉について、文献等を中心に調査を行った。 また、それと並行して、関係各省庁に対して情報公開請求制度を利用し、情報の開示請求を行った。1970年代については、30年を経過していることもあり、それなりの情報を得ることができた。もちろん今後、不十分な点が出てきた場合には追加的に請求をかけていく。他方で、1980年代の交渉の経緯に関する情報公開請求については、2018年の協定改定交渉が控えているということもあり、多くの資料が黒塗りで出てきたこともあり、いまのところ二次資料に依存せざるを得ない形となっている。この点では、資料収集という点で多少遅れが出ていると言わざるを得ない。 そのため、米国および国内の交渉担当者へのインタビューへと軸足を移すこととし、現在インタビュー実施のための事実関係の取りまとめを行っている段階である。すでに、予備的な面談をそれぞれ行っている。 また、それ以外には、本研究は単なる交渉史ではなく、より大きな国際秩序の中でこの二国間協定をどう位置づけるかが重要なテーマでもあるため、核不拡散秩序に関わる論考を、このような分析の枠組みづくりの作業を兼ねて数本執筆した。そのうちのいくつかは、学術誌等に掲載されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日米間の交渉史と国際秩序論の両面から日米の核不拡散(核燃料サイクル)をめぐる関係史にアプローチを試みる本研究において、3年計画の1年目としては、当初交渉史の部分の資料収集等による事実関係の把握を作業の中心に考えていたが、情報公開請求を通じた情報開示に多少見込み違いがあり、研究手順や手法の変更を余儀なくされた。 しかし、それでも2年目に実施するより詳細な文献及び聞き取り調査に向けては、それなりの準備ができた。特に、交渉史の部分については、上記のような情報収集の遅れはある一方で、その他の資料の所在についても調査が進み、また、国際秩序論については、海外の研究者や政策担当者との意見交換などを通じ、また文献の読み込みなどを通じて、それなりの論考が出来上がってきた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、関係者へのインタビューを中心にプロジェクトを進めていく予定である。また、NPT運用検討会議準備委員会に出席し、日米の政策当局者、IAEA関係者、国連軍縮局関係者などと意見交換を行い、核不拡散秩序の変遷についての理解を深める。NPT関連の会議には、核不拡散問題に長年携わっている研究者も、政策当局者と合わせ数多く参加するため、このような知見を得て思索を深めるためには極めて貴重な機会である。 また、そのほかの訪米の機会を利用し、ワシントンにおいて1970年代、1980年代の政策当局者に対して聞き取り調査を実施することとする。そのため、米国の研究協力者との打ち合わせを現在実施しているところである。 平成26年度後半には、論文の執筆に入り、できれば年度内には一次ドラフトを完成させることを目指す。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、当初計画していた米国の研究協力者の招聘が、本人の健康上の都合により困難になったため。 平成26年度、NPT会議がニューヨークで開催され、それに出席するのにあわせ、ワシントンを訪問し、招聘できなかった協力者やそれ以外の専門家への聞き取りの第1回目を実施することとした。
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