研究課題/領域番号 |
25380193
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齋藤 嘉臣 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (10402950)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 冷戦 |
研究概要 |
近年、欧州統合史・安全保障史に関する経済史・軍事史・外交史的な観点からの活発な研究がなされている。しかし、米欧の軍事同盟(NATO)構築過程や西欧の経済的結束(EEC/EC)の進展に関する研究の蓄積に比較して、 それを下支えした文化的基盤には焦点が当てられてこなかった。そこで申請者は、欧州統合プロセスとNATO機構化に対する社会文化要因の解明に関する研究を、主にイギリスの視点から進めてきた。本研究は、これまでの研究の蓄積を基盤に、戦後欧州の地域秩序を下支えしたマーシャル・プランの広報政策やアメリカ国務省・広報文化庁(USIA)による欧州各国での広報文化政策に着目し、その欧州秩序への影響を歴史実証的に解明することを目的としている。 研究の初年度となる25年度は、アメリカ公文書館および議会図書館において、アメリカ政府の文化交流事業の実態に関する史料を収集し、戦後アメリカ政府内で協議された対外広報政策を、社会思想史・外交史的観点から考察した。特に、トルーマン政権・アイゼンハワー政権における欧州・非欧州を対象にした文化・広報政策の立案過程と、その背後にある理念としての「アメリカニズム」を、1950年代と1960年代の時期を中心に検討した。第二に、同時に、同政策の理念となった「アメリカニズム」の内実が、1950年代のアメリカ社会の変容とともに変化し、政策に影響を与える様相を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
25年度、戦後アメリカ広報文化政策の実態と、その理念の形成および変容過程を解明する作業に従事する予定であった。そのため、アメリカ国内を中心に調査・分析を行い、アメリカ広報文化政策の実態と理念の解明を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度も、アメリカ国内を中心に調査・分析を行い、アメリカニズムの変容過程の解明を行う予定である。具体的には、a. アメリカ社会の変化によるアメリカニズムの変容過程の解明、およびb. 上記変容の、広報文化政策への影響解明、c. アメリカ対外政策の他国の対外政策との比較を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初予定より旅費に多くの費用を使用したが、他方では物品費にて購入予定であった書籍への出費額が抑えられたため。 本年度は、昨年度に抑えられた書籍計上分を用いて必要な書籍購入のために充当する。
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