近年の欧州統合史・安全保障史に関する研究成果を基盤として、英米の広報文化政策やNATOによる広報文化政策の実態を解明した。その結果、1950年代以降、同盟の存在正当化が軍事的観点のみからなされることはなくなり、代わりに政治的協議の場としての機能や欧州統合を進める基盤としての役割、デタントを進める基礎としてNATOが自らを表象し始めたことを明らかにした。 一連の考察は、戦後欧州におけるアメリカニゼーションの影響について考察を進める必要性を感じさせるものとなった。そのため、欧州社会においてアメリカが表象したものを、社会思想史・文化史的観点からも考察した。
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