| 研究実績の概要 |
最終年度では、アラビア語とインドネシア語の資料の解析を進めた。そして、“Counterterrorism Measures by Muslim States: A Comparison between a “Democratic State” (Indonesia) and an “Authoritarian State” (Saudi Arabia)”と題する報告を行った(4th Asia-Pacific Social Science Conference (Kyoto, November 22-24, 2016))。アルカーイダ系組織の脅威に対する、二つのムスリム国家インドネシアとサウディアラビアのテロ対策の過程を比較すると、民主主義の前者では、議会、BNPT、関連省庁の間で脱過激化政策のための調整が十分に図られていない。また多元主義を国是として掲げている故に、ムスリム政治団体に得心できるテロ対策を実施するには特有の困難が内在している。他方、サウディアラビアでは、当初はトップダウンにより部局間調整が円滑にイスラーム式対話を重視したテロ対策が展開されていた。だが、アラブの春以後は、テロ対策を人権活動の抑圧に乱用する権威主義特有の弊害が顕著になってきた。なお、テロリズム予防政策に関する成果は、“Modification of the OSCE Model to Be Applied to the Middle East: Including Effective Measures for Confidence Building to Overcome Sectarianism”と題する研究報告（於 6h Gulf Research Meeting 2016, Workshop 2、Cambridge University, August 19, 2016)を行い、中東の政策担当者に伝わる国際学会で政策的含意を披露することができた。
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