研究課題/領域番号 |
25380197
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
簑原 俊洋 神戸大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (40314455)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 日米関係 / アメリカ外交 / フーバー大統領 / ローズヴェルト大統領 / 国務省 / 満州事変 / 日中戦争 / 太平洋戦争 |
研究概要 |
初年度で主要な目標は、日米両国での資料調査、および資料収集を行うことであった。入手する必要のある資料が膨大である上、その所在地が分散されていたがために、収集とその整理作業だけで多くの困難を伴ったが、研究の核心を成す部分は次第に揃いつつある。より具体的には、本研究の中心的アクターとなるフーバーとローズヴェルト大統領の文献・資料が多く集めることができた。残されているのはキャッスルやスティムソン、そしてハルの各国務長官の個人文書や文献であるが、こちらは本年度において集中的に作業を進める。また、両大統領の時代を跨いで活躍したホーンベック極東部長(のちに特別顧問)の資料も閲覧する必要がある。このように、25年度における本研究の中心は主にフィールドワークに向けられた。残された時間はもっぱら一次資料の精読に充てられ、また1930年代のアメリカの東アジア外交の分析枠組みの構築も手がけた。こちらの方は完成までなお時間を要するが、全体的なイメージは徐々に浮かびつつある。 以上のように、アメリカでの資料収集作業は広範囲に及ぶため、初年度だけで収集段階が完結することなく、当初の計画にも示したとおり、来年度も引き続き資料収集を実施する。なお、よりアクセスが容易である日本での資料収集作業は、順調に推移しており、東京(東京大学、外交資料館、国会図書館・憲政資料室)、そして京都(同志社大学・アメリカ研究センター)でのフィールドリサーチの結果、相当程度の資料を渉猟することができた。最後に初期段階での研究現状について研究会で報告する機会を得、参加していた専門家から有意義な指摘を頂戴した。これらの貴重な示唆については、来年度以降の作業で活かしたいと考える。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フーバー大統領図書館及びローズヴェルト大統領図書館での第一フェーズの資料収集が順調に進んだことにより、ある程度の資料が集まってきていることから「概ね順調」という自己評価となった。それにくわえて、資料の整理及びその後の読み込み作業もそれなりに進んでいる。秋頃までには研究ノート程度の文章としての成果アウトプットも可能になるかもしれない。もっとも、現在手許にあるのは全体からみればまだ一部の資料でしかないため、引き続き資料の収集(とりわけ国立公文書館における所蔵文章)を継続させる必要性がある。秋学期は講義負担も幾分かは緩和されるので、引き続き理想的な研究ペースを維持できたらと考えている。なお、初年度では計画の達成は多くの困難を伴うものではないことが通常であるが、今後は研究が進捗する過程で必要となる資料がより精緻なものとなっていくため、こうした点に留意しつつ、当初の計画に可能な限り忠実なペースを維持したいと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策は、次の二点にある。第一は、初年度で収集できなかった資料を確実に収集すること、そして、第二は、収集済みの膨大な資料を精読し、研究の全体的な構図に肉付けしていくことである。くわえて、日程が合えば米国在住の専門家に対する聞き取り調査も実施したいと考える。これにより、欧州での情勢とリンクさせる形でアメリカの東アジア外交を把握することが可能となり、より巨視的な観点からアメリカ外交を総合的な理解できることを目指している。さらには、最終的な成果として、単著としての出版に向けての作業を開始したい。具体的には、版元の確保であるが、昨今の出版情勢からして、これは意に反して時間を要することが考えられる。ただ、その間でも原稿の執筆作業に取り掛かるとともに、途中の成果を単独論文として紀要、および学会誌などに掲載できたら思う。この他に、日本で学会報告を行うのみならず、日米関係の研究であるという事実に鑑み、研究の途中成果報告をアメリカの諸学会(American Historical Association, Association for Asian Studies, Society for Historians of American Foreign Relations等)においても報告し、また、米国の専門誌(Diplomatic History、Diplomacy and Statecraft、Journal of American East-Asian Relations、Pacific Historical Review等)においても研究を公表できたらと考えている。
|