本研究は1930年代におけるアメリカの対日政策を考察し、フーバー政権とローズヴェルト政権を比較したものである。FDR政権時の対日関係を考察した研究は多くあるものの、フーバーとなると政権が大恐慌と重なったため、日米関係での文脈は決して多くない。それゆえ、両政権の対日政策を比較することにより、その全体像を捉え、また対日政策が徐々に硬化していった過程を解明できた。より具体的には、フーバー政権時では、満州事変勃発にかかわらずまだ知日派の対日政策に対する影響力は残っていたが、FDRの時代になると、知日派は一掃されて逆に対日強硬ラインが台頭した。その重要な転換点となったのは第二次上海事変である。
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