本研究では、権威のプライベート化が進んだ多中心的ソフト・ガバナンスの状況における政府間組織(IGO)の権威回復の在り方について考察した。当該ガバナンス状況では、企業やNGOなどの非国家主体の協力が不可欠なため、目的喪失リスクが高くなると考えられた。そのためIGOは、同リスクを抑制すべくアクター間で共有知識の形成を促進すると予測した。また同時に有効なガバナンスに関する不確定性も高くなるため、IGOは、有効性を担保すべくNGOなどを仲介者として動員し、政策実験を奨励すると予測した。その上で国連グローバル・コンパクトのCEOウォーター・マンデートと国連人権企業指導原則を事例に仮説検証を行った。
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