研究課題/領域番号 |
25380200
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
五月女 律子 北九州市立大学, 法学部, 准教授 (50326526)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 国際関係論 / 安全保障防衛政策 / 北欧協力 / 平和維持活動(PKO) / 国際危機管理活動 / 国際情報交換 / スウェーデン:デンマーク:フィンランド |
研究概要 |
本年度は、北欧諸国の安全保障防衛政策の基本に関する文献の収集を行った。洋書・洋雑誌を中心に、各国の安全保障防衛政策や平和維持活動(PKO)を研究対象とした書籍および学術論文を大学図書館で収集した。 3月にデンマークのコペンハーゲン大学およびロスキレ大学、フィンランドのAleksanteri Instituteを訪問し、安全保障防衛政策と国際危機管理活動に精通している両国の研究者に、各国の安全保障防衛政策の特徴、EUおよびNATOとの関係、北欧諸国間の安全保障防衛分野での協力に関してインタビューを行った。収集した資料とこれらの調査結果の分析を行い、来年度に発表予定の研究論文の準備を進めた。本年度の研究成果については、来年度に数本の学術論文として発表する予定である。 本年度の調査研究の成果としては、デンマークは冷戦後に安全保障防衛政策を、自国防衛から軍事的手段の使用も含めた国際危機管理活動に転換し、NATOとの協力関係をより深めたことが明らかになった。デンマークはEUの共同防衛に対しては適用除外の立場であり、軍隊の参加を伴うEUの国際危機管理活動には参加していないが、当該分野での他の北欧諸国との協力はEUの枠外で継続している。フィンランドは、ロシアと国境を接していることから国防に重点をおいているが、国際危機管理活動に積極的に参加し、EUおよびNATOとの関係ではスウェーデンとの協力を深めていることが明らかになった。デンマークおよびフィンランドの安全保障防衛政策において、北欧諸国間の協力の重要度に相違はあるものの、国際危機管理活動において重視する価値、文化、アイデンティティに共通点が多いことから、北欧諸国間の協力関係を継続していることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究実施計画では、本年度はスウェーデンとフィンランドに現地調査に赴く予定であったが、調査地の一つをスウェーデンからデンマークに変更した。デンマークとフィンランドにおいて、両国の安全保障防衛政策および国際危機管理活動を専門とする研究者にインタビューを行うことができ、研究成果としては当初の予定から大きな変更はなかった。調査内容が冷戦後の両国の安全保障防衛政策が中心となったため、来年度以降に冷戦期の平和維持活動についての調査・研究を進める予定である。 資料収集・調査は順調に進められたが、初年度の本年度は現地調査が3月となり、その研究成果を年度内に学術論文として発表することは時間的に不可能であったため、論文としての成果公表は来年度以降になる。また、本年度に執筆する予定であったスウェーデンとフィンランドの安全保障防衛政策と平和維持活動に関する論文については、現地調査をスウェーデンからデンマークに変更したことから、現在、デンマークとフィンランドについての論文の執筆を進めており、来年度に発表できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降も、北欧4カ国の安全保障防衛政策と平和維持活動・国際危機管理活動での協力の連関の分析を、各種文献・資料・データの検討と、現地の研究者や関係者へのインタビュー調査を行うことにより進める。 来年度の夏前までは、日本国内(主に東京)で既存研究を収集し、分析する。同時に、夏までに本年度の調査結果を踏まえて、デンマークおよびフィンランドの安全保障防衛政策と国際危機管理活動について、それぞれ論文1本を発表する。また、冷戦期のスウェーデンの安全保障防衛政策と平和維持活動に関する論文を執筆・発表することを目指す。 現地調査に関しては、来年度は当初の研究実施計画ではデンマークとノルウェーに現地調査に行く予定であったが、デンマークをスウェーデンに変更し、現地での資料収集と研究者および関係者へのインタビューを行う。 以降の年度は、当初の研究計画通りの現地調査を行う予定である。収集した各種文献・資料・データの分析と、北欧各国の研究者および関係者へのインタビュー等の研究調査結果を踏まえて、次年度に2本程度の論文を発表することを目指す。
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