本年度は、北欧諸国の安全保障防衛政策および平和維持活動(PKO)・国際危機管理活動に関する文献の収集を国内外の大学図書館等で行い、論文の執筆を進めた。また、洋書・洋雑誌を中心に、国際平和活動や安全保障防衛政策における北欧諸国間の協力を研究対象とした書籍・学術論文も収集した。 9月にアイスランドを除いた北欧4カ国に渡航し、現地での資料収集を行った。各国では大学図書館において文献を閲覧・複写し、軍事博物館などを訪れて国連PKOや国際的危機管理活動の実態の展示および説明を閲覧した。また、各国において学術専門書を扱う書店で研究課題に関する書籍を購入した。 本年度の調査研究の成果として、北欧各国の安全保障防衛政策と国際平和活動への参加の特徴がより明確になった。また、北欧諸国間で国際平和活動における協力体制の構築の努力が継続されていると同時に、安全保障防衛政策での協力も進んでいることが明らかになった。 研究成果の発表としては、昨年度および本年度の調査結果の一部に基づいて、スウェーデンの国連平和維持活動に関する論文および、国際平和活動における北欧協力を分析した論文を計2本執筆・刊行した。スウェーデンの国連PKOへの参加の歴史および募集や訓練の状況を考察し、参加を志願する人々の動機などについて探った。北欧諸国間の国際平和活動における協力については、1960年代からの訓練における協力体制を基礎として、冷戦後は現地における活動でも協力が進められ、訓練における協力も国連PKOのみでなく、北大西洋条約機構(NATO)や欧州連合(EU)の活動に対象が広がったことを明らかにした。 また、アイスランドの安全保障防衛政策と国際平和活動に関する論文を執筆し、査読中である。アイスランドとNATO(特にアメリカ)との関係の特殊性を考察し、冷戦後はNATO以外との協力に積極的に取り組むようになったことを分析した。
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