研究課題/領域番号 |
25380202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20419253)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際通貨基金 / 世界銀行 / 金融改革 / 海外援助 |
研究概要 |
平成25年度は、9月から平成26年3月までの特別研究期間を利用し、平成25年7月末より米国に滞在して、研究を行った。ミシガン大学アナーバー校でのICPSRでの5日間のプログラム出席による必要な統計技術のワークショップ履修や、ジョンスホプキンス大学客員研究員としてIMFの調査部に通いながら、金融改革データベースのアップデート及び、IMFスタッフ等へのインタビューを行った(ただしこれらの米国滞在時の研究に関する費用は科研費ではなく、安部フェローシップから助成を受けた)。金融改革データベースのアップデートにおいては、IMFにて、公開文書ではあってもウェブでは入手できない過去のIMF文書へのアクセスが許可されたため、データベース構築に必要な資料を入手することができた。またその他、IMFや世界銀行の金融改革についての条件を含んだプログラムがあったかについての指標を作成するために必要な、過去のIMFプログラムについての理事会などの文書を集めることもできた。これらの種々のIMFの文書を日々読むことにより、世界金融危機後のIMFや世界銀行の金融改革へのアプローチの変化の有無、変化があるとすればその内容について確認できたため大変有意義な機会となった。 また、SAISエドウィン・ライシャワー・センター東アジア研究所のランチョンセミナーにてランチョントークにて最初の知見を発表する機会を得た。計量分析に関しては、金融改革データベースのアップデートは当初よりもずっと時間のかかるものとなっているため、アップデートしたデータを用いて計量分析をするところまでには至らなかった。従って2014年3月に、アメリカ国際政治学会にて、IMFと世界銀行の金融改革への影響についてアップデートしていない現在IMFにより公開中の2005年までの金融改革データベースを用いた計量分析の結果を発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IMFにより作成公表されている金融改革データベースのアップデートを、IMFの調査部に滞在して行い、当初は平成25年度米国滞在中に完成させる予定であったが、そのアップデートを年度内に終えることができなかったため、平成26年度も引き続き行っている。IMFにより作成公表されている金融改革データベースは、1973年から2005年91か国の金融政をカバーするものであり、21分野の金融政策サブ政策領域をコード化して、7分野の金融政策をコード化している。当初はすでに完成しているデータベースに加えて2006年から2012年の金融政策7領域についてアップデートするのみであった。しかし、従来のデータベースのクリーンアップ、即ちすべての既存の公表済み部分のデータの見直しと、これらに誤りがあった場合の再コード化を含めてのデータベース作成となったため、当初のアップデートで予想されたよりもコード化のために必要な時間が大幅に増えた。1973年から2012年までの91か国21分野の金融政策をすべて見直して一人でコード化している状況であり、平成26年度もこのアップデートを継続して行っていく必要がある。また世界銀行のスタッフへのインタビューを米国滞在中に行う予定であったが、アップデートに忙殺されたこと、IMF滞在中でなければ得られない、IMFプログラムの指標作成に必要な報告文書の入手などに時間を優先的に用いた。またIMFに滞在ということで、IMFスタッフにはインタビューを受けて頂きやすい状態であったが、世界銀行のスタッフは、IMFのスタッフほどにアクセスポイントを見つけることができなかったためインタビューを行えなかった。
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今後の研究の推進方策 |
金融改革データベースのアップデートに関しては、現在も引き続き鋭意アップデートを行っている。また平成26年度にはRAを雇い、当初の計画通りアップデートが終わった際の計量分析に向けて、データベースの作成を行う予定である。今年度中には、当初の計画通り、金融改革アップデートと計量分析用データベースの作成を終わらせる予定でいる。また、世界銀行スタッフへのインタビューに関しては、今年度8月末にワシントンDCで開催されるアメリカ政治学会に参加して研究動向調査を行う予定である。その際に世界銀行スタッフへのコンタクトを試みるが、そこでもインタビューを行うことが無理であれば、世界銀行東京事務所にインタビューを申し込む予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は当初予定していた、米国滞在にかかる費用は、安部フェローシップによる研究助成金により支出することが可能であったため、その米国滞在にかかるはずであった費用を平成26年度に繰り越した。 平成26年度は、前述のように、金融改革データべース作成の遅れもあるため、完成した際に、これらのデータベースを用いてすぐに計量分析が行えるようにその他のコントロール変数やIMFプログラムのデータ化などのその他のデータベースの作成を迅速に行うためにも、RAを当初の予定よりも長時間雇用する予定である。またRAによる研究室内での本研究のための作業を行うために、RA用のパーソナル・コンピュータを購入する予定である。また研究動向調査として、International Political Science Association (7月モントリオール)、アメリカ政治学会(8月米国ワシントンDC)に出席する予定であるため、これらの費用を支出する。さらに本や研究に必要なPCソフトなどを随時購入する予定である。
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