研究課題/領域番号 |
25380202
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
大森 佐和 国際基督教大学, 教養学部, 准教授 (20419253)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際通貨基金 / 世界銀行 / 金融改革 / 政府開発援助 / 経済改革 / 国際金融 / ガバナンス |
研究実績の概要 |
IMFにより作成公表されている金融改革データベースのアップデートを、平成25年度に引き続き、平成26年度中も鋭意アップデートを行った。当初のアップデートで予想されたよりもコード化のために必要な時間が大幅に増えた。1973年からできれば2013年まで、少なくとも2012年までの91か国21分野の金融政策をすべて見直して一人でコード化している状況であり、昨年同様、平成26年度もこのアップデートに忙殺されながら一人でこの仕事を継続して行ってきた。 また、計量分析において独立変数として用いられる世界銀行やIMFの融資プログラムとこれらが金融改革を含んでいるか否かをコード化した変数に関して、RAを雇用し、RAの助力も得てこれらの変数作成を行った。これらはオリジナルな独立変数として有用性の高い指標となると期待される。 平成26年度は、これらデータベースのアップデートや計量分析用のデータベース作成作業の他、2013年米国滞在時にIMFで行ったIMFスタッフへのインタビューや、金融改革データベースアップデートを行うに際し、2005年以降の各国のIMFレポートを読むことによって見えてきた、世界金融危機後の金融改革に対するIMFの対応や選好の変化について、IMFの変化が各金融政策によりどの程度変革したかという評価と、世界金融危機後にIMFに変化をもたらした原因は、IMF自身が変わったからであるというよりは、先進国が世界金融危機後に行った量的緩和や銀行国営化などの政策変化を受けて、IMF自らも変わる必要にせまられて変わったのではないか、ということに政策変化の原因を求めてまとめ、こうした結果をグローバル・ガバナンス学会及び日本国際政治学会にて学会発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
IMFにより作成公表されている金融改革データベースのアップデートを、平成25年度に引き続き、平成26年度中も終えることができずずっと鋭意アップデートを行う必要があった。昨年度の報告にても述べたように、IMFにより作成公表されている金融改革データベースは、1973年から2005年91か国の金融政をカバーするものであり、21分野の金融政策サブ政策領域をコード化して、7分野の金融政策をコード化している。当初はすでに完成しているデータベースに加えて2006年から2012年の金融政策7領域についてアップデートするのみであった。 しかし、従来のデータベースのクリーンアップ、即ちすべての既存の公表済み部分のデータの見直しと、これらに誤りがあった場合の再コード化を含めてのデータベース作成となったため、研究計画当初の金融改革アップデートで予想されたよりもコード化のために必要な時間が、大幅に増えた。 すなわち、1973年から少なくとも2012年までの(可能であれば2013年まで)、91か国(できれば100か国)21分野の金融政策をすべての年にわたって見直して一人でコード化している状況であり、昨年同様、平成26年度も一人でアップデートを継続して行ってきた。従って平成26年度ではまだアップデートが終わっていないために計量分析に取り掛かることができず、分析の遅れが生じており、平成27年度に持ち越されることとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
金融改革データベースのアップデートに関しては、平成27年度中には、金融改革アップデートと計量分析用データベースの作成を終わらせる予定でいる。また平成27年度にもRAを雇い、アップデートが終わった際の計量分析に向けて、引き続きデータベースの作成を行う予定である。平成27年9月には米国サンフランシスコで開かれるアメリカ政治学会での計量分析による発表が決まっているため、それに向けてデータベースのアップデートとその他の変数の整備を行い、夏に計量分析を行う予定である。内在性の問題を統計分析上どう解決するかがStataの統計ソフトのアップデート版がリリースされたため、従来は無理であった分析が可能になったと思われるので購入し、計量分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
アップデートが終わっていないために計量分析に取り掛かることができず、分析の遅れが生じており、平成27年度に持ち越されることとなっている。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度予算と合わせて引き続きコード化作業の謝金に用いるほか、統計ソフトをアップデートしてコード化作業の迅速化につとめる予定である。その他、書籍購入代や学会発表のための海外出張旅費および参加登録費等にも引き続き充当する。
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