研究課題/領域番号 |
25380204
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
長澤 裕子 東京大学, 大学院情報学環, 特任講師 (90626730)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 韓国 / 文化財返還 / 外交 / 国交正常化 / 日本 / 米国 |
研究概要 |
第一次年度として、韓国文化財返還問題を中心に研究の基礎材料を1951年から日韓両政府の間で開催された日韓国交正常化交渉の一次資料と、1965年日韓国交正常化直後の外交資料を調査収集、分析した。その中間結果は韓国政治学会韓国学世界大会で口頭発表した。 一次資料の調査は、日韓国交正常化交渉期と国交正常化直後を中心に、日本、韓国、米国で行った。日本および韓国政府がそれぞれ公開した日韓国交正常化交渉期の日韓政府間交渉の議事録・関係資料の他に、韓国政府の対日外交政策決定過程を分析するために、韓国国家大統領記録館、韓国国立外交院で韓国大統領秘書室が作成した資料を調査した。特に、文化財返還をめぐり、国交正常化後に韓国が独自文化の育成と日韓文化交流をどのように位置づけ、対日文化外交を政策として樹立していたかを分析した。 日本の各地に所蔵されている韓国文化財について、韓国政府が日韓国交正常化交渉時に日本政府に対して請求した返還文化財リストを参照に、現在の韓国文化財の所在地や日本搬入の背景等を調査した。同時に、韓国では、日韓国交正常化時に日本から引き渡された文化財の目録および日本敗戦直後に南朝鮮側に引き渡された文化財(主に古典籍)について、ソウル大学校の総合図書館古文献室、奎章閣、そしてソウル大学校美術館図書館、国立中央図書館で、図書台帳を照合する調査を行い、報道されている引き渡し文化財以外の案件についても確認した。 本研究の比較対象の時期として、日韓国交正常化開始前の時期を調査対象に設定し、米国での調査を中心に一次資料を収集した。主に中国に対する文化財返還および日本・韓国の博物館と略奪文化財に関する資料を収集した。1970年ユネスコ条約に関しては、当初、一次資料調査のみを実施する計画であったが、同条約以外の国際条約と韓国文化財返還に関する事例研究を先行して行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
一次資料調査に加え、韓国文化財に関する研究者、政府関係者、文化財所持者等との面談調査を行い、その結果を学会にて口頭発表した。現在、論文作成中である。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に行った国際条約と韓国文化財返還に関する事例研究の結果を参考に、1970年ユネスコ条約に関する一次資料を調査研究する。台湾・中国に対する文化財返還に関する収集資料の分析を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費の全体額が研究費の残額を超えたため、旅費の一部を自費で支出し、残額は本年度に使用する。 資料調査および学会参加発表のための旅費、資料入力補助の人件費謝金、資料保存のための記録媒体および書籍購入のための物品費で用いる。
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