研究課題/領域番号 |
25380206
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
河野 康子 法政大学, 法学部, 教授 (40186630)
|
研究分担者 |
平良 好利 法政大学, 法学部, 講師 (40614863)
福永 文夫 獨協大学, 法学部, 教授 (60199255)
荒木田 岳 福島大学, 行政政策学類, 准教授 (70313434)
村井 良太 駒澤大学, 法学部, 教授 (70365534)
雨宮 昭一 獨協大学, 法学部, 教授 (90007766)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 戦後体制 / 国際比較 / 沖縄 / 中国 / ヨーロッパ / 占領研究 |
研究概要 |
平成25年度は共同研究の初年度であり、3回の定例研究会と沖縄への調査旅行を行った。定例研究会は、6月、平成26年1月、2月に実施した。6月研究会では、日本政治思想史と丸山真男について報告を聞き、質疑と議論を行った。政治学と政治史とを視野に入れた充実した議論であった。平成26年1月には、中国の戦後体制と東アジアについて報告を聞き、議論を行った。中国の戦後体制が、戦後秩序形成とどのようにかかわっているのか、という点を含めて多くの新鮮なアイディアが提示され、貴重な機会となった。続いて2月は、オランダ政治と「二つの統合」をテーマに報告を聞き、議論を行った。日本の戦後との比較でヨーロッパの戦後が極めて興味深い報告であるという認識が共有できた。10月には沖縄へ一泊で調査旅行を行った。この調査旅行では、沖縄在住の研究者、財界人にヒアリングを行った。戦後沖縄を基地社会という視点で考察する報告をめぐり、共同研究のテーマに即した示唆に富む議論となった。続いて、戦後沖縄の財界についてヒアリングを行った。沖縄の復帰運動研究に比較して、沖縄の財界研究は少ない。この研究状況を踏まえて、これまでほとんど知られることのなかった沖縄戦後経済史の一面を伺うことができた。研究会、ヒアリングは録音し、テープ起こし原稿を作成している。 平成25年度の研究会では、占領期についての日本と沖縄の比較には考察が及ばなかった。この課題は今後も継続し引き続いて検討を進めたい。他方で戦後体制について、日本にのみ焦点を当てるのではなく、アジア、ヨーロッパの戦後との国際比較という観点で分析することの意義を確認したことは大きな成果となった。この視角を活かして今後の研究会を発展させたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的として、政治学研究と国際関係論とを共に視野に入れつつ、戦後体制のなかの沖縄をテーマとする共同研究を目指してきた。計画通り、沖縄への調査旅行が実現でき、当初の想定以上に充実した成果を挙げることができた。加えて定例研究会では、戦後体制をめぐり数回にわたる報告を聞き、議論を展開できた。この過程で、戦後体制に関する国際比較の視点が今後の研究をさらに豊かにするであろうとの見通しを得ることができた。その際、戦後体制の出発点となった占領期をどう考えるか、という課題がキーポイントとなろう。これを今後の課題の一つとして、さらなる共同研究を進めたい。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を大きく変更する必要はない、と判断している。初年度の成果を十分に吟味しつつ、第2年度の研究を進める予定である。共同研究の柱は、定例研究会と沖縄への調査旅行となる。定例研究会では、戦後体制をめぐり、政治学、国際関係論の分野からさらに一歩踏み出して、社会学などの研究成果にも視野を広げる試みを検討している。沖縄への調査旅行では、立法院、琉球政府などのアメリカ統治下における実質的な政治の担い手について、ヒアリングなどを行う予定である。
|
次年度の研究費の使用計画 |
当初の予算で想定した支出よりも、実際に支出した金額がやや少なくなった。平成26年度の予算執行では、沖縄調査旅行などで支出をする予定である。 2年目となる平成26年度は、予算配分について実際に支出する金額についての見通しを現実的なものにする。特に沖縄調査旅行での支出を増やす予定である。
|