研究課題/領域番号 |
25380207
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
伊藤 剛 明治大学, 政治経済学部, 教授 (10308059)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 米中関係 / パワー / 日米中関係 / 戦略的あいまい性 / 非軍事的影響力 |
研究実績の概要 |
2014年度はサバティカルの年度であり、主として台湾に滞在して研究活動を行った。米中関係における「影響力」の行使が軍事力に裏打ちされたものから、政治的交流を目指すものまで多岐に渡ることを前提として、どのような交渉案件が両国間で挙がっているか、資料を収集した。また、台湾に滞在することによって、中台関係における「影響力」行使が次第に非軍事的なものに変容していることを再度確認し、中台関係は米中関係の函数でもあることを検証した。 この米中関係における「政治力」と「軍事力」との相克は、日本をも含めたアジア太平洋国際関係の中で次第に顕著になっている。中国による周辺国へのパワーの行使は、「三歩進んで二歩下がる」ようなもので、非常に強圧的に見えるときと、非常に協力的に見えるときとの二つが混在している。軍事力という物理的強制力をどのような形態でオブラートに包み、周辺国に自発的に中国に協力させるかという方法は、日本でもよく引用される「戦わずして勝つ」孫子の兵法に近似している。 以上の目的を果たすために、台湾に滞在して研究活動を行った。また、米国に調査に赴き、ニクソン大統領図書館、カーター大統領図書館で資料収集を行った。さらに、ニューヨークでコロンビア大学図書館でも資料収集を行い、何人かの国連関係者にもインタビューを行った。 米中関係は、中国が言う「新型大国間関係」を構築しつつあり(と中国は唱えている)、その意味でも、複合的な相互依存関係が顕著になりつつある。どのような米中交渉が行われているか、今後も検証を続ける予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
海外における資料調査は進行しているので、研究成果を執筆する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、研究成果のまとめに入りたいと考えている。単に米中二国間関係にとまらず、両国間の狭間にある日本の動向に関しても、論文を執筆する予定である。 また、本研究は「影響力」という国際政治上の基本概念を扱う研究でもあるので、国際政治研究に関する概念規定に関しても、論文をまとめたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
サバティカル中であったため、別研究費を優先的に使用したため。
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次年度使用額の使用計画 |
物品で購入が必要なものが多々あるとともに、本テーマに関する海外出張の必要性が生じている。
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