「アメリカの社会科学」を超えて：20世紀国際秩序観の再検討

2015 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 25380208
• 研究機関: 明治学院大学
• 研究代表者: 葛谷 彩 明治学院大学, 法学部, 准教授 (90362558)
• 研究分担者: 板橋 拓己 成蹊大学, 法学部, 准教授 (80507153) ; 森田 吉彦 大阪観光大学, 国際交流学部, 教授 (70459387) ; 山中 仁美 南山大学, 経済学部, 准教授 (30510028) [辞退] ; 西村 邦行 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70612274) ; 小川 浩之 東京大学, 総合文化研究科, 准教授 (60362555) ; 劉 仙姫 大阪女学院大学, 公私立大学の部局等, その他 (30432404) ; 小窪 千早 静岡県立大学, 国際関係学部, 講師 (00362559) ; 妹尾 哲志 専修大学, 法学部, 准教授 (50580776) ; 塚田 鉄也 桃山学院大学, 法学部, 准教授 (00551483) ; 三牧 聖子 関西外国語大学, 外国語学部, 助教 (60579019)
• 研究期間 (年度): 2013-04-01 – 2016-03-31
• キーワード: 20世紀国際秩序 / 国際関係論 / 国際政治思想 / 外交史 / アメリカの社会科学

研究実績の概要

本研究は、20世紀のさまざまな地域に現れた多様な国際秩序構想を、国際政治思想史と外交史の両面から比較検討することで、アメリカの社会科学として確立した国際関係論を批判的に再検討するものである。最終年にあたる平成27年度はこれまでの研究の蓄積を基礎として研究成果の最終的な取りまとめを行なった。具体的には、１．成果報告として、昨年度日本国際政治学会研究大会にて部会「古典的国際政治論の『英国学派』からの解放」にて西村邦行・宮下豊・葛谷彩が報告を行なった（各自報告については業績報告にて記載）。これにより、「アメリカの社会科学」としての「IR」を超える試みが陥る罠（「アメリカの社会科学」を相対化しようとして、逆にその再生産に寄与すること）を、古典的国際政治論の学者であるH・バターフィールドを事例として、彼を「英国学派」に含めることの問題性を明らかにすることで指摘した。２．個別研究の深化に努めると同時に、研究成果として『「アメリカの社会科学」を超えて：20世紀国際秩序観の再検討』と題した論集の刊行に向けた準備を行なった。
具体的には、下記の通り、二回の研究会を開催し、３人のメンバーが研究成果を報告した。また今年3月の研究会では、論集の目次案と出版スケジュールおよび費用の手当てについて話し合われた。27年8月29日（明治学院大学、以下同）報告者：劉仙姫「デタント期におけるドイツ問題と朝鮮問題をめぐる国際関係の比較分析」28年3月27日 報告者(1)阿曽沼春菜「英国外交官のみた日英関係―ランボルド日記(1909-1913)をてがかりに」報告者(2)春名展生「『社会』としての国際関係」―近代日本の「国際社会」概念をめぐって―」

研究成果

• [雑誌論文] 「『不本意な覇権国』？―ドイツ外交政策をめぐる論争」 (2016)
  • 著者名/発表者名: 葛谷彩
  • 雑誌名: 明治学院大学 法学研究 巻: １００号 ページ: 409-425
• [雑誌論文] Book Review: 遠藤誠治・遠藤乾（編集代表）『シリーズ 日本の安全保障』（全８巻、岩波書店、2014-2015年） (2016)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 外交 巻: 36号 ページ: 138-141
• [雑誌論文] 「孤立主義」アメリカの外交構想力－大戦間期アメリカの戦争違法化運動 (2016)
  • 著者名/発表者名: 三牧聖子
  • 雑誌名: 『立教アメリカンスタディーズ』 巻: 38号 ページ: 1-17
• [雑誌論文] 書評 後藤敦史著『開国期徳川幕府の政治と外交』（有志舎） (2016)
  • 著者名/発表者名: 森田吉彦
  • 雑誌名: 大阪観光大学紀要 巻: 16号 ページ: 75-76
• [雑誌論文] 「朴正熙の核開発と米国外交」 (2016)
  • 著者名/発表者名: 劉仙姫
  • 雑誌名: 国際政治 巻: 184号 ページ: 30-43
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 「リアリストから見たトインビー：文明論的視座の今日的意義」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 葛谷彩
  • 雑誌名: 21世紀とトインビー 巻: １８号 ページ: 7-11
• [雑誌論文] ヴァイマル期ドイツにおける「西洋」概念の政治化―ヘルマン・プラッツと雑誌『アーベントラント』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 地域研究 巻: 16巻1号 ページ: 137-154
  • 査読あり
• [雑誌論文] 「アメリカの社会科学」とどう向き合うか―ドイツの国際関係論（IB）の歴史と現状（１） (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 成蹊法学 巻: 83号 ページ: 217-243
• [雑誌論文] ヨーロッパ統合とドイツ (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 神奈川大学評論 巻: 83号 ページ: 100-109
• [雑誌論文] 「過去」と政治―戦後ドイツの「過去の克服」再考（中国語） (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 成蹊法学 巻: 82号 ページ: 118-130
• [雑誌論文] Book Review: 飯田洋介『ビスマルク―ドイツ帝国を築いた政治外交術』（中公新書、2015年） (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 外交 巻: 32号 ページ: 142-145
• [雑誌論文] Book Review: 昔農英明『「移民国家ドイツ」の難民庇護政策』（慶應義塾大学出版会、2014年） (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 雑誌名: 外交 巻: 34号 ページ: 142-145
• [雑誌論文] 書評 石田徹著『近代移行期の日朝関係 --国交刷新をめぐる日朝双方の論理--』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 森田吉彦
  • 雑誌名: 洛北史学 巻: 17号 ページ: 113-119
• [雑誌論文] 密使・若泉敬はなぜ沖縄に殉じたか (2015)
  • 著者名/発表者名: 森田吉彦
  • 雑誌名: VOICE 巻: 454号 ページ: 116-125
• [雑誌論文] 「朴正熙の核開発をめぐる歴史的背景」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 劉仙姫
  • 雑誌名: 大阪女学院大学紀要 巻: 12号 ページ: 1-15
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 「ニーバーとバターフィールドにおける自己義認批判――誤読された原罪説と「ホッブズ的恐怖」」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮下豊
  • 雑誌名: 国際政治 巻: 180号 ページ: 55-67
  • 査読あり / オープンアクセス
• [雑誌論文] 「バターフィールドとニーバーにおける自国・敵国批判――政治的判断の比較研究のための一試論」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮下豊
  • 雑誌名: 政治思想研究 巻: 15号 ページ: 311-338
  • 査読あり / オープンアクセス
• [学会発表] 「討論：西側同盟内関係と冷戦」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 妹尾哲志・橋口豊・益田実・山本健
  • 学会等名: 冷戦史研究会公開書評会『冷戦史を問いなおす―「冷戦」と「非冷戦」の境界』（
  • 発表場所: 京都大学芝蘭会館別館（京都市）
  • 年月日: 2015-12-12
• [学会発表] 「ドゴールの核戦略とNPT ～フランスのNPT署名拒否とその背景～」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 小窪千早
  • 学会等名: 国際安全保障学会
  • 発表場所: 慶應義塾大学（東京都港区）
  • 年月日: 2015-12-06
• [学会発表] リアリストの誕生――国際政治学の戦前から戦後へ (2015)
  • 著者名/発表者名: 春名展生
  • 学会等名: 日本国際政治学会
  • 発表場所: 仙台国際センター（仙台市）
  • 年月日: 2015-11-01
• [学会発表] H・バターフィールドと高坂正堯の国際政治論―ドイツの知的伝統の視点からー (2015)
  • 著者名/発表者名: 葛谷彩
  • 学会等名: 日本国際政治学会
  • 発表場所: 仙台国際センター（仙台市）
  • 年月日: 2015-10-30
• [学会発表] 「なぜ「アメリカの社会科学」に抗すべきでないか―記号としての英国学派とその限界」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 西村邦行
  • 学会等名: 日本国際政治学会
  • 発表場所: 仙台国際センター（仙台市）
  • 年月日: 2015-10-30
• [学会発表] アメリカの理想と国連—国連創設期と冷戦初期を中心に (2015)
  • 著者名/発表者名: 三牧聖子
  • 学会等名: 日本国際政治学会
  • 発表場所: 仙台国際センター（仙台市）
  • 年月日: 2015-10-30
• [学会発表] 「現状の防衛という自己義認――H・バターフィールドの政治的判断について」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 宮下豊
  • 学会等名: 日本国際政治学会
  • 発表場所: 仙台国際センター（仙台市）
  • 年月日: 2015-10-30
• [学会発表] 「西洋を救え！」―西独アデナウアー政権とアーベントラント運動 (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 学会等名: 日本政治学会
  • 発表場所: 千葉大学（千葉市稲毛区）
  • 年月日: 2015-10-11
• [学会発表] 「ドゴールの外交防衛構想における核認識」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 小窪千早
  • 学会等名: 『NATOにおける核共有・核協議制度の成立と運用』研究会
  • 発表場所: 政策研究大学院大学（東京都港区）
  • 年月日: 2015-10-03
• [学会発表] 「外交政策から見る25年」シンポジウムⅠ「統一後25年のドイツ政治」 (2015)
  • 著者名/発表者名: 葛谷彩
  • 学会等名: ドイツ現代史学会
  • 発表場所: 神戸大学（神戸市）
  • 年月日: 2015-09-19
• [学会発表] ハロルト・マクミランのヨーロッパ統合政策 (2015)
  • 著者名/発表者名: 小川浩之
  • 学会等名: 政治経済学・経済史学会ヨーロッパ統合史フォーラム
  • 発表場所: 学士会館（東京都千代田区）
  • 年月日: 2015-08-01
• [学会発表] 企画「ドイツ戦後史の方法」（書評：板橋拓己 『アデナウアー』（中公新書）、評者：為政雅代） (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 学会等名: ドイツ現代史研究会
  • 発表場所: 同志社大学光塩館（京都市上京区）
  • 年月日: 2015-06-21
• [学会発表] The Institute of Pacific Relations: Neglected Origin of Trans-Pacific Cooperation (2015)
  • 著者名/発表者名: Seiko Mimaki
  • 学会等名: Asian Studies on the Pacific Coast
  • 発表場所: University of Pacific (CA, US)
  • 年月日: 2015-06-05
• [学会発表] 戦後70周年―ドイツの戦後から何を学ぶか (2015)
  • 著者名/発表者名: 板橋拓己
  • 学会等名: 丸の内政経懇話会
  • 発表場所: LEVEL XXI 東京會舘（東京都千代田区）
  • 年月日: 2015-05-27
  • 招待講演
• [学会発表] 人の移動の安全保障化と難民の保護 (2015)
  • 著者名/発表者名: 塚田鉄也
  • 学会等名: グローバル・ガバナンス学会
  • 発表場所: 南山大学名古屋キャンパス（名古屋市）
  • 年月日: 2015-04-18
• [図書] 『太平洋問題調査会（IPR）とその群像』 (2016)
  • 著者名/発表者名: 早稲田大学アジア太平洋研究センター太平洋問題調査会(IPR)研究部会著（三牧聖子）
  • 総ページ数: 203(151-172)
  • 出版者: 早稲田大学アジア太平洋研究センター
• [図書] Asia-Pacific between Conflict and Reconciliation. (2016)
  • 著者名/発表者名: Phillip Tolliday, Maria Palme, and Dong-Choon Kim, eds., Seiko Mimaki
  • 総ページ数: 293(257-278)
  • 出版者: Vandenhoeck & Ruprecht
• [図書] 現代政治の理論と動向 (2016)
  • 著者名/発表者名: 土倉莞爾・廣川嘉裕・大村和正・大藪俊志・森田吉彦
  • 総ページ数: 189(166-189)
  • 出版者: 晃洋書房
• [図書] ニュルンベルク裁判―ナチ・ドイツはどのように裁かれたのか (2015)
  • 著者名/発表者名: アンネッテ・ヴァインケ著、板橋拓己訳
  • 総ページ数: 236
  • 出版者: 中央公論新社
• [図書] 第一次世界大戦を考える (2015)
  • 著者名/発表者名: 藤原辰史編、板橋拓己ほか著
  • 総ページ数: 271(199-201)
  • 出版者: 京都大学人文科学研究所
• [図書] 『冷戦史を問いなおす―「冷戦」と「非冷戦」の境界―』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 益田実・池田亮・青野利彦・齋藤嘉臣編、小川浩之ほか著
  • 総ページ数: 434(265-289)
  • 出版者: ミネルヴァ書房
• [図書] 『戦後アジア・ヨーロッパ関係史―冷戦・脱植民地化・地域主義―』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 細谷雄一編、小川浩之ほか著
  • 総ページ数: 303(93-120)
  • 出版者: 慶應義塾大学出版会
• [図書] 軍縮辞典 (2015)
  • 著者名/発表者名: 日本軍縮学会（編） 執筆者124名 （小窪千早）
  • 総ページ数: 531(350-351)
  • 出版者: 信山社
• [図書] 『平和と安全保障を考える事典』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 広島市立大学広島平和研究所編、妹尾哲志ほか著
  • 総ページ数: 712(124, 424-425)
  • 出版者: 法律文化社
• [図書] 『冷戦史を問いなおす―「冷戦」と「非冷戦」の境界』 (2015)
  • 著者名/発表者名: 益田実・池田亮・青野利彦・齋藤嘉臣編、妹尾哲志ほか著
  • 総ページ数: 434(80-102)
  • 出版者: ミネルヴァ書房
• [図書] Possible Future World; Essays by Carnegie Council’s Ethics Fellows for the Future 2015 (2015)
  • 著者名/発表者名: Carnegie Council’s Ethics Fellows(Seiko Mimaki)
  • 総ページ数: 121(48-51)
  • 出版者: Carnegie Council for Ethics in International Affairs
• [図書] 人口・資源・領土――近代日本の外交思想と国際政治学 (2015)
  • 著者名/発表者名: 春名展生
  • 総ページ数: 330
  • 出版者: 千倉書房