研究課題
最終年となる平成28年度に、本研究課題の成果報告となる単行本、臼井実稲子・奥迫元・山本武彦編『経済制裁の研究 経済制裁の政治経済学的位置づけ』(平成29年3月10日刊,志學社)を上梓した。すでに平成25年から26年に国内学会においてメンバーは数回の発表を行い、平成28年3月には、アトランタで開催されたアメリカ国際関係学会(ISA)研究大会において、研究分担者である奥迫元・玉井雅隆・宮脇昇・山本武彦がパネルを組み、報告し、これらの議論を踏まえた上での出版となった。当初の計画では平成27年度が本研究の最終年であったが、研究遂行の途上で制裁研究の第一人者であるスイスGraduate Institute のTomas Biersteker教授が執筆陣に加わることになり、研究を1年延長をせざるを得なかったものの、その意義は大きいと考える。本研究課題では、「制裁」を単に主権国家間の問題に還元せず、民間企業や民間団体が主体的に関与し、標的となる「民の制裁」(private sanction)まで分析対象を広げ、制裁を国際公共政策の課題として学術的にとらえることにより、新たな知の体系を形成するという、独創的・先駆的研究領域の開拓を目指した。実際に、成果報告書では経済制裁をめぐる諸問題を主としてパワーと公正の観点から検討し、その考察を踏まえて、効果的かつ公正なグローバル経済制裁ガバナンスの制度設計に向けた今後の理論的研究の争点と課題を示した。なお、今後、この研究課題は、平成29年度科学研究費助成基礎研究C「経済制裁の問題点と課題 対抗制裁の罠」においてさらに深められることになる。
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地域情報研究
巻: 第5号 ページ: 133-137
Journal of Policy Science
巻: Vol 19, ページ: 11-44