研究課題/領域番号 |
25380214
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
三宅 康之 関西学院大学, 国際学部, 教授 (50363908)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 中国外交 / 台湾外交 / 国交樹立 / 1950年代 / 冷戦史 / 国際関係史 / 外交史 |
研究概要 |
中国外交については、世界的に注目されていながら、建国から今日に至るまで堪え得る、一貫した視座に立脚する研究はきわめて少ないのが現状である。中華人民共和国が国際社会において高い地位を得ると同時に、中華民国の正統性を失わせるため、可能な限り多数の国と、可能な限り有利な条件での国交樹立を目指す「国交樹立外交」が中国外交の基軸になってきたという仮説を検証するため、本研究においては、建国初期の6年間(1949年秋から55年夏まで)に中国が行った国交樹立をめぐる活動をマルチ・アーカイヴァル・アプローチに基づき実証的に解明することを目指す。 初年度である今年度は、当初の研究実施計画では、最も重要かつ資料も豊富なイギリス、および南アジア諸国の事例を整理、検討する、としていた。具体的には夏季は米国での史料収集を行い、冬季は北京、台北で史料収集を行うと計画した。 結果から言えば、この当初計画からは大幅にずれてしまったと言わざるを得ない。というのも、北京での国際ワークショップに参加するため、ワークショップのテーマにもっとも合致する中国とインドネシアの国交樹立過程の事例研究を先行させることになったからである。その結果、中国の外交史研究者にも一定の評価を得られた。また同報告は日本国内のインドネシア研究者からも注目された。次年度以降に予定していた旧宗主国オランダでの調査も前倒しで実現できた。そして、政治的問題から北京での史料収集は不可能であったことも付け加えておきたい。 報告論文は加筆修正のうえ中国の専門誌に発表される予定である。インドネシアの事例研究に加え、ビルマの事例についても草稿の執筆が進行中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定とは異なったが、中国とインドネシアの関係の事例について中国の外交史研究者から一定の評価を受け、専門誌にも掲載されることになるなど、期待以上の成果を上げることができた。また国内でもインドネシア研究者から注目され、ワークショップで報告し、有意義なコメントを得ることができた。さらに、インドネシア研究者から教示・紹介を受けたことで、旧宗主国オランダにおける史料調査が前倒しで実現できた。 他方、当初計画していたイギリスと南アジアについては基礎文献収集を行ったのにとどまる。ただし、南アジアのうちビルマの事例について草稿の執筆段階まで進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
平成26年度はまず夏季までにインドネシアの事例研究について、オランダで得た史料を補充することで完成させる。ビルマの事例についても、5月に現地アーカイヴで調査を試みる予定である。また秋以降、関係の深いインドにも赴いて、ビルマ関係の史料とインド自体の史料を収集し、論文執筆に入る。 平成26年度夏季にはフランスで本プロジェクトの史料収集を行うことを計画している。この場合、研究計画で予定していた北欧諸国における調査は平成27年度に回さざるを得ないがやむを得ない。 年度末までには北京の史料公開状況が改善すれば北京で、そうでなければ台湾で史料収集を行いたい。
|
次年度の研究費の使用計画 |
北京の外交部档案館(公文書館)が2012年末から閉鎖状態にあり、いつ平常に復帰するか不明である。出張を予定していたが、年度末になっても平常に復帰しなかったため、結果的に執行残が出てしまった。 平成26年度も引き続き再開に対応できるようにする必要があるが、年度末が近づいても見込みが立たない場合は、台湾での史料収集のための出張費に充て、研究を遂行することにする。
|