本研究では、企業の特許引用の重複度合いを計測し、その時系列上の変化と企業のイノベーション成果への影響を分析した。特に焦点を当てたのは、企業群による技術グループ間の競争で、米国の特許データから、多極度によってとらえられるグループ間競争の度合いが、1990年以前はイノベーションにポジティブに影響するものの、以降はマイナスの効果に転じることを見出した。プロ・パテント政策への転換によって、技術グループ間競争が研究開発よりもレント・シーキング活動の誘因を高めたものと解釈でき、制度的な要因で本来のグループ間競争インセンティブが歪められている可能性を提示した。
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