研究概要 |
本年度に論文 “A Methodological Note on a Weighted Voting Experiment” (Eric Guerci, Nobuyuki Hanaki, Naoki Watanabe, Gabriele Esposito, Xiaoyan Lu)が査読付き国際専門誌であるSocial Choice and Welfareに受理され、オンライン版は既に刊行されている。 本稿では、Montero et al. (2008)で用いられた重み付き投票の実験プロトコルの要素を2つほど抜き出して、それぞれに対応する実験結果の感度分析を行った。それらは、(1)各回で被験者の役割をランダムに割り当てる、(2)提案にはいくつでも賛成してよい、という2点である。本稿では、(1)について、被験者の役割を固定したもの(2)については、賛成できる提案が1つのみに変更したものと組み合わせ、合計4つの実験プロトコルにおいて観察される勝利提携の相対頻度にどのような違いが出るかを調べた。ここでは、投票者の集まりを提携といい、議案が採択された提携を提携勝利という。その結果、Monteroらの実験プロトコルに比べて、被験者がミスをする件数が有意に少ないのは、被験者の役割を各回で固定し、賛成できる提案は1つに限定した実験プロトコルであることが判った。 上述のように、本稿の内容は投票実験に関する方法論であり、今後実施されるの投票実験のための基礎を提供している。
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