研究課題/領域番号 |
25380229
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
野田 哲夫 島根大学, 法文学部, 教授 (30243413)
|
研究分担者 |
丹生 晃隆 島根大学, 産学連携センター, 准教授 (00432617)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | オープンイノベーション / オープンソース / 情報経済 / 情報産業 / 情報サービス産業 / IT企業 / OSS / Open Source |
研究実績の概要 |
① 企業のOSS活用・貢献をアンケート調査によって収集:前年度(平成25年度)に引き続き日本国内の情報サービス産業に対して代表的なOSSの活用とOSS開発への関与・貢献を集計するためのアンケート調査を研究分担者の丹生晃隆(島根大学産学連携センター准教授)とともに行った。
② OSSの活用と開発貢献と企業経営指標の分析:、アンケート調査分析から日本のIT企業がOSSの活用が進む一方、OSSへの開発貢献は依然として低いことが分かった。またOSSの活用による企業経営指標への効果はタイムラグを置いて翌年度に表れていることが予測された。一方、OSSの開発貢献と企業の経営指標では、直接的な売上高成長よりも従業員増加見込みとの間で有意な相関が認められた。OSSの活用や開発貢献の企業における具体的効果の分析から、OSSの開発貢献を行うIT企業は人材育成や採用を見込んでいることが予測された。これらの研究成果を国内外の学会で発表し、また国際学会のProceedingsに論文としてまとめた。
③ OSSの活用と開発貢献の地域別分析:アンケート調査から都市圏(関東,関西,福岡の大都市圏)、それ以外の地方圏(島根県を除く)、島根県での地域別の比較分析を行い島根県のIT産業と地域IT産業振興政策の効果と課題を抽出した。その結果,島根県ではRubyを含めたOSSの活用だけでなく開発貢献も進んでいるが、企業経営指標との関係に関してはまだ見込みの段階で、成果としては表れていないことが分かった.またOSS活用貢献に関して、特にRubyを中心に開発者の吸引・人材確保を要因・動機としている可能性があることが見いだされた。研究成果は大学紀要(島根大学法文学部紀要『山陰研究』)に論文としてまとめた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
① 前年度(平成25年度)に引き続き日本国内の情報サービス産業に対して代表的なOSSの活用とOSS開発への関与・貢献を集計するためのアンケート調査を行い、経年の比較分析によってOSSの活用と開発貢献と企業経営指標の分析を行った。(研究目的を達成)
② OSSの活用と開発貢献の地域別分析を行うことによって、地域のIT産業におけるOSSの活用と開発貢献および企業経営指標との関連の比較分析を行い、さらに地域IT産業振興政策の効果と課題を抽出した。(当初の計画以上に進展)
|
今後の研究の推進方策 |
OSSの内部資源データ、外部資源データ、およびOSSの活用と開発貢献を連結させることによって、日本の情報サービス産業においてOSSの開発スタイルの有する生産性分析フレームワークを導出する。収集・集計したデータに基づき、企業規模別や活用OSS別によるパネルデータ分析によって、OSSを活用した日本の情報サービス産業の労働生産性を計測する。
研究のフードバックを得るため、社会情報学会、経営情報学会等の学会で随時発表し、レビューを受ける。また学会誌・紀要論文等で研究成果を発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
① 企業アンケート調査のデータ集計で人件費・謝金を算定していた部分を研究者で実施した。
② 最終年度(平成27年度)において研究成果の発表等で学会参加費用が予測されるために節約した。
|
次年度使用額の使用計画 |
① 研究成果の発表等で旅費・参加費の一部として使用予定である。
|