本研究は、経営者と消費者との相互連関において、企業の社会的パフォーマンス(corporate social performance,CSP)を論じるものである。本研究は企業の社会的パフォーマンスを公共財の私的供給としてとらえる。モデルにおいて、二種類の社会的選好を想定する、すなわち、企業の社会的パフォーマンスにたいする消費者と経営者の嗜好である。企業の倫理的行為を決定づける主要な力は、相互連関において結果として生じる社会的満足である。社会的価値にたいして反応しない場合がある一方で、高い道徳的水準を維持する企業においては、社会的関心の高い消費者への期待に合致し、公共財の私的供給が行われる。
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