研究課題/領域番号 |
25380233
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
飯村 卓也 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (50279634)
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研究分担者 |
渡辺 隆裕 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 教授 (70220895)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナッシュ均衡 / 均衡の存在 / 均衡アルゴリズム |
研究実績の概要 |
本年度は前年度に引き続き有限ゲームについての研究を主に行った.まず,投稿中のWUCゲームに関する論文は,改訂依頼に基づき改訂を行い,現在レビュー中である.純粋戦略均衡を持つ有限ゲームのクラスについての研究は,内外の四つの学会・研究集会で報告を行った.また,新規の論文として次を公表した: Iimura, T. "On the IENBR-solvability of two-person finite games", Research Paper Series No. 149, Tokyo Metropolitan University [2015年3月].この論文では,最適反応にならない戦略の逐次的削除で二人有限ゲームが解けるための必要十分条件を明らかにしている.件の削除の操作は純粋戦略の範囲では効率的に行えることが知られているが,本研究では,最適反応サイクルがなく,ナッシュの意味で強く可解なゲームでは,削除によってナッシュ均衡点の集合全体をえる事ができ,しかもそれが効率的に行えることを示している.これは,課題テーマである「効率的な計算が可能なゲーム」のクラスを,混合戦略の範囲で一つ明らかにしたものといえる.(二人有限ゲームにおいて合理化可能な戦略とナッシュ均衡戦略が一致する必要十分条件を示したものともいえる.)その他,有限人の進化ゲームに関する論文を執筆し,現在投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題では次の三つを主たる研究対象にしている.(1)有限戦略ゲームにおける純粋戦略均衡解の存在条件と求解法の研究,(2)混合戦略を離散化したゲームにおける厳密な均衡解の存在条件と求解法の研究,(3)不連続な利得関数を持つゲームの均衡解の研究.このうち(1)については対称ゲームのクラスで既刊1篇他2篇をまとめており,(2)については,離散化によるものとは異なるが,混合戦略均衡が効率的に求められるゲームのクラスを今年度一つ明らかにした.これらから,総じて,一定の成果がそろってきているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にあたる平成27年度では,仕掛中の論文数編の公刊に努力するとともに,研究対象(2)(3)で未着手なものへの取り組みを行い,あわせてまた,新たに得られている知見を基にした発展に取り組んでいく.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は当初予定していた出張が研究の進捗状況の関係でできず,旅費相当分が未使用になったためである.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度使用額の大半は来年度に旅費として使用する予定であるが,今年度利用した英文校閲などにも少し使用したいと考えている.
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