研究課題/領域番号 |
25380234
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研究機関 | 広島市立大学 |
研究代表者 |
高橋 広雅 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (80352540)
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研究分担者 |
二村 英夫 広島市立大学, 国際学部, 教授 (00316134)
瀋 俊毅 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (10432460)
小川 一仁 関西大学, 社会学部, 准教授 (50405487)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | trust game / reference point / 現金効果 |
研究実績の概要 |
平成27年度は、平成26年度に引き続いて、参照点依存型効用あるいは損失回避的な性向が信用に基づく行動やリスク選好、社会的選好に与える影響を確認する実験を行った。具体的には以下のような信頼ゲーム実験を実施した。トラスター役の参加者が、600円の内いくら投資するかを決定する。トラスター役が投資した額は3倍になってトラスティー役に渡される。トラスティー役は3倍になって渡された額のうち、いくらをトラスター役に返すかを決定する。この信頼ゲームを2要因で条件を変え、6つの条件で実験を実施した。一つ目の要因は参加料で、これが0円、500円、1000円の場合で実験を実施した。もう一つの要因は、現金を使って実験を行う場合とチップを用いて実験を行う場合である。また我々は実験の説明をする前に参加者が期待している報酬を尋ねた。これを参照点と考えると、各参加者の参照点と参加料によって、被験者は常に参照点を超える報酬を手に出来る場合(ゲイン・フレーム)、常に参照点を下回る報酬しか得られない場合(ロス・フレーム)、そのどちらでもない場合の3つのタイプに分けられる。実験は2014年の6月から2015年の9月にかけて、関西大学で実施され、全部で420人の学部生が参加した。そして実験によって以下ことが分かった。(1) 男性は、ゲイン・フレームとロス・フレームにおいてリスク愛好的になる。(2) ゲイン・フレームとロス・フレームの中間的な状況では男性と女性のリスク選好に差はない。(3) ゲイン・フレームで女性は利他的に振る舞う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、実験を実施できたため。
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今後の研究の推進方策 |
実験結果は、論文にまとめて投稿中である。今後、必要に応じて修正していく。 また28年度は、参照点依存性や現金効果が正直さといった他の行動規範にどのような影響を及ぼすかについての追加実験を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由の一つは、経済実験で支払った謝金が当初計画より少なかったことである。また、実験を実施するための出張旅費や学会出張の旅費を個人研究費など他の資金でまかなったことも理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
資金は、27年度の実験結果を学会等で報告するために用いる。 また28年度は、参照点依存性や現金効果が正直さといった他の行動規範にどのような影響を及ぼすかについての追加実験を実施する予定であり、そのための資金とする。
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