研究実績の概要 |
平成26年度は、浅田統一郎と松本昭夫は共同で、遅延微分方程式(微分差分混合方程式)を中期マクロ経済動学モデルの分析に適用した研究成果を公刊した。具体的な公刊論文としては、浅田統一郎・松本昭夫「金融政策とタイム・ラグ:動学的ケインズモデルによる分析』(「中央大学経済研究所年報」45号、pp. 143 - 160, 2014年9月)、浅田統一郎・松本昭夫「カルドア・カレツキモデルの短期動学分析」(中央大学「経済学論纂」第55号3・4合併号、pp. 49 - 65, 2015年3月)がある。松本昭夫は、その他に、海外(ハンガリー)の研究者フェレンク・シダロフスキー氏とともに、遅延微分方程式を用いたマクロ経済動学モデルおよびミクロ経済動学モデルを開発中である。高橋晴天は、日本経済に実証データを用いて不平等と経済成長の関係について、ピケティによる仮説が日本にあてはまるかどうか、研究を進めている。浅田統一郎は、金融不安定性がマクロ経済に及ぼす影響および、政府と中央銀行による財政金融ポリシー・ミックスによるマクロ安定化政策について、6次元(6変数)の非線形微分方程式を用いた数学的解析による研究成果を公刊した。具体的には、T. Asada "Mathematical Modelling of Financial Instability and Macroeconomic Stabilization Policy" (R. Dieci, X. Z. He and C. Hommes(eds.) "Nonlinear Economic Dynamics and Financial Modelling", Springer, Switzerland, August 2014, pp. 41 - 63)である。この論文は、2014年9月にスロバキアで開催された国際会議で報告された。
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