研究課題/領域番号 |
25380241
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
清水 和巳 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (20308133)
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研究分担者 |
上條 良夫 高知工科大学, 経営学部, 准教授 (40453972)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 実験経済学 / minimum effort game / 利他主義 / 協力 |
研究概要 |
本研究の目的は、構成員の匿名性を維持し、利害関係を大幅に変化させるような外部装置を用いないより現実的な状態で、協力行動を達成し維持しうる、幅広い適用可能性をもつ仕組みを提案し、その効果を明らかにすることである。 「全員が合理的プレイヤーである」という一般的なゲーム理論の前提の下では、有限回繰り返し囚人のジレンマでは、毎期非協力を選択し続けることが唯一のゲーム理論からの予測となり、したがって、上記の仕組みが有効に機能するとは考えにくい。しかしながら、我々の理論分析の結果、集団内に一定割合の利他主義者が存在すれば、残りの利己的プレイヤーが利他的プレイヤーの行動を織り込むことにより、協力行動を選択し続けることが利己的プレイヤーの利益にかない、それゆえ部分ゲーム完全均衡となることが明らかにされた。現実世界に一定割合の利他主義者が存在することは明らかであり、それを前提とするなら、上記三つの仕組みにも協力形成・維持の効果があると期待できるのである。 本年度は、上記二つの条件を満たした実験環境を実験室に設定し、三つの仕組み(段階的変化、内生性、目標値調整)を有したメカニズム―GEMメカニズム―が鹿狩りゲーム(ミニマム・エフォートゲーム)において高協力を形成・維持するのにどのような効果があるのかを明らかするために集団実験を実施した。その際、三つの仕組みの組み合わせを変えることで実験条件を設定し、これらの仕組みの効果を明らかにした。 実験の結果は我々の理論予想通り、GEMメカニズムが他の諸条件より高い協力率を生み出しかつ維持しうることを明確に示した。この結果を英文論文としてまとめ現在、専門雑誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理論予測通りの結果が最初にデザインした実験から得られたために、デザインを修正した実験結果をやり直す必要がなく、結果を初年度から英文論文として投稿することができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、鹿狩りゲーム実験で得られたGEMメカニズムの良好なパフォーマンスが、囚人のジレンマ、公共財供給問題においても維持されるのかどうかを検討する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2013年度は理論予測通りの結果が最初にデザインした実験から得られたために、デザインを修正した実験結果をやり直す必要がなくなった。 余裕を持った予算で本年度はより広範なジレンマを解決しうるメカニズムの探求等に向かう。より具体的には段階的公共財供給ゲームにおいてGEMメカニズムが機能するかどうかを理論的かつ実験的に検証する。
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