本プロジェクトでは,「2人の患者が偽装結婚・偽装養子縁組を通じて自分のドナーを交換し合った後で腎臓交換メカニズムに参加しても,双方とも利益を得る機会はないこと」を腎臓交換メカニズムに対して要請する条件を考案し検討した.本研究ではこの条件を「耐事前交換性」と名付け,耐事前交換性のほかに個人合理性と耐戦略性を満たす腎臓交換メカニズムがトップ・トレーディング・サイクル・メカニズムに限られることを示した.また,腎臓交換メカニズムに参加する患者数が3人以上の場合,耐事前交換性を強めた条件は個人合理性と両立しなくなることがわかった.
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