アダム・スミスの思想を、市場・社会・政府・経済成長に関する基礎的な思想として捉えた上で、スミス以降のさまざまな思想を検討した。その結果、スミスの思想は、アンリ・ベルクソンが言う「閉じた社会」(強い人、優れた人が頂点に立って、弱い人、劣った人を支配する社会)を前提にしているものの、「開かれた社会」(個人間のあらゆる差異を乗り越え、すべての人間を同等に扱う社会)を目指すものであることが分かった。そして、「閉じた社会」から「開かれた社会」への移行を目指す思想としてJ.S.ミルとアマルティア・センの思想が位置づけられることが分かった。
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