今までの研究成果を踏まえ、さらに未検討の部分を加えて、全体を網羅する分析・整理を行った。安井の自筆研究ノート全32冊中に書き込まれている読書ノート部分の論文、書籍、辞書類の全タイトルをリスト化した(ディスカッションペーパー)。また安井文庫全体の内容と意義を論じた口頭発表を研究代表者・分担者共同で行った。また、安井がオリジナルな主張を書き留めたと思われる部分(草稿)に関する分析を行った。自筆研究ノートのほぼ全体について、テキスト化を終えた。報告書を作成した。 本研究全体では、これまでの奥山ら(1999-2000)と貝山ら(2001-2002)の科研費研究への接続を意識しながら、「安井文庫」の重要部分をPDF化した上でDVDに整理し、可視化した上で、自筆研究ノートの解明(テキスト化による検索可能化、読書ノート部分のタイトルリスト作成、いくつかの草稿の検討)を行った。これらは、「安井文庫」の全体像を描き出すことを目指したもので、その目的はある程度達することができたと考える。特に、これまで検討が不十分であった自筆研究ノートの全体を網羅できたことには意義があると考える。自筆研究ノートの大部分は読書ノートであったが,部分的に草稿や思考メモを含むものであった。草稿や思考メモの評価は、それらが断片的であることもあり、研究期間内では一部の検討にとどまった。未検討部分の考察は今後継続し、近い将来、完成を期したい。
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