研究実績の概要 |
本研究の主要課題は経済学が女性の経済的問題をどのように扱ってきたのかを経済学説史の分野で調査・分析・検証することであるが、27年度は経済学説史の分野において、本研究がどのような共感や批判を受けるのかを当該研究の対象であるイギリスでの反応を学ぶため9月1~4日まで、初めてUKHET(47th History of Economic Thought Conference Manchester,2015)に参加し、"Harriet Martineau and Factory of Manchester"というタイトルで報告をおこなった。またこの報告の準備段階として、例年学会報告をしてきた本年度のthe Martineau Society Conference in Norwich(7月23~26日)においてHarriet Martineau's the Rioters and Manchester Strikeの報告をおこなった。両報告共にマーティノゥの経済思想を中心に当時の経済学説と関係する機械と失業の問題を扱った。テーマは経済思想であるが、マーティノゥ・ソサエティではマンチェスター・メトロポリタン大学のジョン・ヴィント(John Vint)教授の当時のファクトリーの解説が事前にあったため、文学、歴史関係者からの反応が多く寄せられ、文学や歴史と経済思想との関係性の重要さを理解した。この二つの報告のために4月から当該報告までの期間は報告テーマを中心に研究を進めた。尚、エントリーに際して英語による論文を提出している。 武蔵大学総合研究所紀要No.24(2015年6月)に「ハリエット・マーティーノゥの経済思想(1)」を発表し、後半の(2)は2016年6月に公刊予定である。本課題において重要だと思われるマーティノウの初期の作品the Rioters; or A Bad Times(1827)の翻訳である。女性の経済問題への取り組みは昨年度扱ったJ.S.ミルのリプロダクティヴ・ライツとの関係に加え、女性の就業・職業教育・同一労働同一賃金への示唆をヴィクトリア時代にすでに行っていたハリエット・マーティノゥの経済思想がきわめて重要であることを本研究から理解した。
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